1.3 SQL Anywhereの主な特徴
前節で挙げたようなRDBMSの機能が使いやすくなっていることが、SQL Anywhereの特徴である。
容易なインストール・運用管理
インストールはウィザード形式になっていて、[次へ]ボタンをクリックしていけば完了する。そして、インストールした初期設定のままで高パフォーマンスが発揮・持続されるように設計されているので(優れた自己チューニング機能など)、運用管理コストが低く、専任のデータベース管理者をおく必要はない。データベースファイルサイズは自動拡張し、キャッシュサイズも自動増減する。
アプリケーションに組み込む際は、サイレントインストールやEXE・DLLファイル単位での配備が可能なため、組み込みやすい。さらに、データベースに対するオプションは設定ファイルではなく、起動コマンドやデータベース内に保存されるオプションで指定するため、インストール後の管理も容易だ。また、データベースサーバはサービスとして登録することもできるし、クライアントからの接続時にデータベースを自動起動することもできる。
なお、軽量データベースであるUltra Lightは、アプリケーションのコードと一体化するため、さらに組み込みやすくなっている。
エンタープライズレベルのフル機能RDBMS
SQL Anywhereは、およそRDBMSに求められるであろう機能をすべて備えており、正統派のRDBMSと言える。主な機能には、トランザクション処理、リカバリ処理、オンラインバックアップ、参照整合性のサポート、ストアドプロシージャ、トリガ、行ロック、スケジュールとイベントなどがある。
GUIによる管理ツール
Sybase CentralやInteractive SQLなど、GUIによる管理ツールが標準で搭載されている。管理コマンドも充実しているので、管理処理をバッチ化することも可能だ。
省リソース
必要最小メモリ量は8MBである。さらに、1接続あたり4KB(Linux版では8KB)必要となる。
スタンドアロンにもネットワークサーバにも利用可能
パッケージソフトに組み込まれたデータベースとしてスタンドアロンで利用したり、クライアント/サーバシステムやWebシステムのバックエンドでネットワークデータベースとして利用することもできる。
スタンドアロンで利用する場合、アプリケーションの要求に応じて自動的にデータベースの起動や停止が可能だ。この機能は、SQL Anywhereをアプリケーションへ組み込んだときに威力を発揮する。
高性能
省リソースで低い管理コストにもかかわらず、高性能である。マルチCPUに対応し、コストベースの先進的なクエリオプティマイザを持つ。また、パフォーマンスをモニタリングしたりチューニングしたりするツールも備える。
標準的なインターフェイス
業界標準的なプログラミングインターフェイスに対応している。ADO.NET、ODBC、OLE DB、JDBC(Type 2/3/4)、Perl DBD、PHPに対応し、embedded SQLやSybase Open Clientのインターフェイスもある。
クロスプラットフォーム
WindowsやLinux、Mac OS Xなど、多数のOSに対応している。また、SQL Anywhereが使用するデータベースファイルはどのOS版のものでも共通なので、データベースファイルをコピーするだけでデータを移行できる。
先進的で柔軟な同期テクノロジ
分散したデータベースを同期するSQL RemoteやMobile Linkがある。特に、Mobile Linkは、他社のデータベース製品との同期や競合解決などを可能にするなど、機能が豊富だ。
1.4 対応プラットフォーム
SQL Anywhere 9.0.1が対応しているプラットフォームを以下に挙げる。
- Windows 95/98/Me/NT/2000/XP 32bit/XP 64bit(IA64、x64)/XP Embedded/Tablet PC
- Windows Server 2003 32bit/64bit
- Windows Mobile(Pocket PC/Handheld PC)
- Linux 32bit(x86)/64bit(AMD64、EM64T、IA64)
- Mac OS X
- Novell NetWare
- Solaris/SPARC
- HP-UX、IBM AIX、Compaq Tru-64
ただし、日本で発売されているのは、2005年7月現在、Windows版(Windows Mobileを含む)とLinux版だけである。対応プラットフォームに関する最新情報は、アイエニウェア・ソリューションズ社のWebサイト(1または2)に掲載されている。
次回
次回は、SQL Anywhereのインストール方法やGUIツールの使い方について紹介する。なお、社内評価や開発を目的としたSQL Anywhereの利用に対しては、無償のDeveloper Editionを利用できる。ぜひ一度、実際に試していただきたい。