SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

DeveloperZine(デベロッパージン)- エンジニアの意思決定を支える技術情報メディア ProductZine

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

プロダクトマネジメントの基本を学ぼう

PMなら押さえておきたい「プロダクトライフサイクル」を知ろう

プロダクトマネジメントの基本を学ぼう 第4回


プロダクトアダプションサイクル(マーケット視点からの見え方)

 プロダクトライフサイクルはどちらかというと作り手視点であったが、逆にユーザー視点でライフサイクルを捉えることもできる。これが「プロダクトアダプションサイクル」だ。

 プロトタイプや最初期のプロダクトに喜々として飛びつく人、面白そうだなと思って手を伸ばす人、皆が使っているから自分も使おうと思う人など、プロダクトとの向き合い方に人の性向が現れる。このサイクルは、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードの5つのカテゴリーで構成され、市場の中のユーザーの分散という意味では一般的に以下の割合で分かれている。

イノベーター (Innovators)

 とにかく新しいテクノロジーやガジェットが出たら触らずにはいられない、多少の不具合もなんのその、自ら使い倒して自分で直したいと言い出すくらい新プロダクトに情熱を燃やすユーザー。

 イノベーターは無料で使う代わりにさまざまな意見をくれる。ただ、基本的に少数派である。よほどマーケティング施策が当たらない限り、プロダクトマネージャーとしてイノベーターからマネタイズを期待するのは間違いだ。

 例えばアメリカではBeta testingというサービスを使ってイノベーターと直接やりとりすることもできる。

 その他、自社プロダクトの愛用者をコミュニティ化することなどでも可能だ。「トラステッドテスター」などの名前で呼ばれることもある認定被験者制度は、社員の紹介やプロダクトのヘビーユーザーなどを招待することで組織化されており、新プロダクトや機能を一般に公開する前にいち早く試してもらうことなどを行う。

 多くの場合、こうしたコミュニティは無償のボランティアの形になっており、自分の好きなプロダクトを頼まれもしないのに周りに啓蒙するような人たちで構成される。

 このようなコミュニティの一例として、Googleローカルガイドがある。このローカルガイドはGoogleマップのソーシャル機能を支える仕組みだ。自分が訪れた地図上の店舗や施設などについてレーティングを行ったり、口コミを投稿したりできる。このようなソーシャル機能への貢献がポイント化されており、獲得ポイントの多いユーザーにはさまざまな特典が付与されるのだが、その1つに新機能の優先的な利用がある。

アーリーアダプター(Early Adoptors)

 プロダクトが少しずつ知られてくるようになると、「面白そうだから試してみよう」という人々が集まってくる。プロダクトの提供する価値に惚れ込み、多少使い勝手が悪くても使ってくれる、ハイリスク・ハイリターンを許容するユーザーである。

 価値をしっかり理解してくれているため、価格には敏感ではなく初期プロダクトのマネタイズの基盤となる。イノベーターカテゴリーの人々と比べるとプロダクトの品質への期待値は上がるが、不具合に対する心理的許容度は広い。

 ここで、十分なアーリーアダプターを獲得できないと先に資金が尽きてしまいビジネスを運営していくことができなくなってしまう。これが「キャズム」と呼ばれるライフサイクルの谷だ。

アーリーマジョリティ(Early Majority)

 プロダクトの価値に興味を持ち本当に自分の仕事や生活が良い方向に変わるかどうか冷静に判断を下し、興味だけでは動かないユーザーである。

 口コミやマーケティングの効果が出てくると増えてくる傾向にある。プロダクトの見栄えや使い勝手への期待値は上がり、そのプロダクトを使うことが自分にとって欠かせないかどうか、といった判断が強く影響してくる。プロダクトそのものだけでなく周りの人がこのプロダクトをどう伝えているかの観点も重要になる。

 こうしたアーリーマジョリティを取り込むことが、プロダクトがグロースステージを生き残れるかどうかの境目となる。

レイトマジョリティ(Late Majority)

 プロダクトの市場への浸透がさらに進み、新しいものには常に懐疑的だったが購入し始めることを決めたユーザーである。リスクに対して非常に敏感で価格への反応度も高い。どちらかというと追加機能や特別仕様などにはあまり興味がなく通常のパッケージだけで満足する傾向がある。ただし母数が多い層なのでここを取れると売上的にはかなりの増加を見込める。

ラガード(Laggards)

 プロダクトアダプションのライフサイクルで最も定着が遅いユーザーである。ライフサイクルの期間は、プロダクトや業界によって半年から数年の長さでまちまちだが、ラガード層のユーザーは常にライフサイクルの最後に登場する。

 レイトマジョリティよりもさらに腰の重い層だ。ただライフサイクル全体における占有率は決して少なくないので、無視したり切り捨てる前に何かできないかは考える価値がある。プロダクトマネジメントの観点でトッププライオリティーにはならないかもしれないが、うまく取り込めれば収益の底上げにつながる可能性を秘めている。

次回は

 プロダクトライフサイクルは、作り手とユーザー、両者の視点から理解する必要があることがご理解いただけたと思う。

 プロダクトマネージャーとしてステージごとに適切な動き方をしなければ、ユーザーは離れ、事業としてうまく行かなくなってしまう。では、どうすれば各ステージでの成功をおさめ、次のステージに進むことができるのか。また、衰退期にたどり着いたプロダクトでは、プロダクトマネージャーはどのように振る舞えば良いのだろうか。

 第5回では今回説明したプロダクトライフサイクルの中でプロダクトマネージャーがどのように振る舞うかについて解説していく。

#PMの基本 で投稿しよう!

 本連載は、プロダクトマネージャーを目指す方への道しるべとなる書籍(執筆中)の一部抜粋です。

 本連載のフィードバックは、「#PMの基本」をつけてTwitterFacebookなどにご投稿ください! 私たちはそれを見て、より現場の悩みに寄り添った書籍を作っていきます。読者の皆さん同士でも、意見を共有する機会になればと思います。

プロダクト開発の最新情報をゲットするには、会員登録がおすすめ!

 ProductZineのメルマガに登録いただくと、新着記事やニュースなどプロダクト開発の最新情報をお届けします。

この記事は参考になりましたか?

連載通知を行うには会員登録(無料)が必要です。
既に会員の方はを行ってください。
プロダクトマネジメントの基本を学ぼう連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

及川 卓也(オイカワ タクヤ)

 早稲田大学理工学部を卒業後、外資系コンピューターメーカーに就職。営業サポート、ソフトウエア開発、研究開発に従事し、その後、別の外資系企業にてOSの開発に携わる。その後、3社目となる外資系企業にてプロダクトマネージャーとエンジニアリングマネージャーとして勤務後、スタートアップを経て、独立。2019年...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

曽根原 春樹(ソネハラ ハルキ)

 Fortune500系外資企業に入社後、SE、カスタマーサポート、マーケティングなど様々な役職を日米で従事。その後シリコンバレーでプロダクトマネージャーに転身。B2B、B2C領域で米系大企業・スタートアップの双方でプロダクトの世界展開に携わる。現在はSmartNews社米国法人にて日本のスタートア...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小城 久美子(コシロ クミコ)

 toC向けサービスを提供するWeb系企業に入社し、その後いくつかの企業で新規事業の立ち上げなどにエンジニア、スクラムマスターとして携わる。どう作るかより何を作るかに興味関心が移り、プロダクトオーナー/プロダクトマネージャーに転身。プロダクトマネジメントについてより深めるために、2019年よりTab...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/12343 2020/06/17 11:34

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー