SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規事業開発における自らの失敗からなにを学んだのか UXデザインを事業運営に取り入れる心得とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

さまざまな課題を抱え、伸び悩んだサービス開始当初

 デザイナーとして高い価値発揮をするためにも、そしてデザイナーとして良いサービスを作るためにも「UXデザインを事業に取り入れる」と意気込んでいた私ですが、サービス開始してからの約3年間を振り返ると、最初の2年間は「問い合わせ件数」「CVR」が思うように伸びず、苦戦していました。

 当時を振り返ると、サイト内のユーザー同線が不明確であること、情報が整理されていないこと、そもそも圧倒的にコンテンツが不足していることなどが、課題として挙がっていました。すでにあるコンテンツを再整理することで改善を重ねてきた私からすると、自身が積み重ねた経験や強みを生かしたサイト改善をすることができませんでした。

 SEOでマネタイズしていくことを考えると、コンテンツ不足は致命的です。SEOに強いサイト設計では、多角的なディレクトリ構造が一般的ですが、「Life.(ライフドット)」はまるでECサイトのようなサイトの設計になっています。サイト内には商品やサービスに関する大量の情報があり、ユーザーがサイト内で検索し、購入やサービス申し込みに向けた行動をとるのが特徴です。

 お墓、葬儀、仏壇、相続など、扱う商材も多岐にわたり、お墓に絞った商品数では8,000以上あるため、事業戦略を策定するうえで、どの商材から拡充させるか、どのようなコンテンツ設計や情報が必要なのかとても悩みました。さらに、お墓のような商材は、サービスを運営する私たちにとっては馴染みが浅かったため、お墓について検索するユーザーがどのようなコンテンツを求めているのか、といったニーズの理解にも苦しみました。

事業の方向性と施策の共有不足が原因でチームは迷走

 今後どのようなサービスに育てあげていくのか。事業の早期黒字化を目指しながらもユーザーニーズに応えられるサービスにするためには、どのような改善が必要なのかが見えず、デザインをどうしていくかを議論する前に、チームは迷走状態に入ってしまいました。

 まずはデザインを改善したいデザイナーの私、SEOの側面からコンテンツの拡充を狙っていきたいSEO担当者。良いサービスを作りたいという目的は一緒のはずなのに、なかなかチーム内の方向性は定まらず、議論は暗礁にのり上げていました。UXデザインの取り入れかたやサイトの具体的な改善方法なども自分なりにコミュニケーションを工夫し提案していましたがなかなか伝わらず、なぜ理解してもらえないのかと苦しかったこともありました。

 そんな当時を振り返ると、相手が納得するようなロジカルな伝えかたができていなかったように思います。チームのメンバーは、自分とは異なる分野のプロフェッショナル。そもそもお互いの共通言語や認識が違う中で、整理されていない情報を伝えてもなかなか理解してもらえないのは当たり前です。

 相手に正確に伝え、理解してもらうためには、共通した「思考法」や「言語」、それを自分の言葉で語ることが大切です。デザイナーとして事業成長にコミットするためには、UXデザインの知識やスキルだけではなく、こうしたスタンダードなビジネススキルを身に着けることが重要だと気づきました。

 そんな私が事業の成長に貢献できるデザイナーになるために2年間で意識したことを、ここからは紹介していきます。

事業を成長させるためのUXデザインにおいて必要なこと

 私の大きな失敗は、事業運営においてUXデザインを取り入れること自体を目的としてしまったこと、そして論理的に「伝える力」が備わっていなかったことだと思っています。

 そのため、事業の成長にコミットできるデザイナーになるべく、「事業成長に紐づいた課題発見を可能にする論理的思考力」、「課題解決のためのスキル獲得」、そして「振り返り習慣の徹底」の3つを意識しました。

1.事業成長に紐づいた課題発見

 私はいままで、「感覚的」「直感的」な右脳でものごとを考えていました。自分自身は感覚的に理解し、直感的に判断しているため、それらを相手にアウトプットをするときも、その感覚のままに伝えていました。そのため、相手との共通項が少なく、正しく伝わらないことが少なくなかったのです。これでは、事業成長に必要な課題や改善点を発見することはできません。

 そこで、事業成長に紐づいた課題を発見するために、論理的思考力を鍛えることにしました。

 ちょうどそのころ、上司である事業責任者が、メンバーを集めてロジカルシンキングの勉強会を開催してくれました。その目的は、プロジェクトに関わるメンバーの論理的思考力を養うこと、チーム内にロジカルなコミュニケーションを浸透させること、事業の課題解決に必要な課題発見力を養うこと。ロジカルシンキングの一般的なフレームワークである「ロジックツリー」「ピラミットストラクチャー」についてもその勉強会で学びました。

 まずは知識としてフレームワークを理解し、実際に課題を抱える事業をケーススタディとして実践し、チームみんなで議論しながら進めていきました。ワークショップ形式で事業をもとにした事例に取り組んだり、ロジックツリーで、「What」「Why」「How」などのファクトを整理し、構造的に理解する訓練を繰り返すことで、構造化して考えると理解がとても進むことに気づきます。

 そのあとは、ロジックツリーを用いて本当に解決すべき課題は何かをホワイトボードに整理し、各チームメンバーが出し合った意見をもとに、抱える課題解決に必要なKPIを議論。それを事業目標に置きました。

 みんなで話し合い決めた目標のため1人ひとり納得感を持つことができ、自分たちが何をしなければいけないのか、明確になったように感じました。同時に、私がこれまで提案していたものはなんて的外れな施策だったんだろうということも痛感しました。

ホワイトボードに書き出しながらチームメンバーで議論をしたときの様子。
ホワイトボードに書き出しながらチームメンバーで議論をしたときの様子。

 このように整理すると、事業目標を達成するために必要な施策の優先順位も明確になりました。それまでは、デザインに関する改善案を提案するも優先度が不明確でなかなか納得感が得られなかったのですが、こうしたコミュニケーションがチーム内に浸透し、自分自身も意識することで、メンバー同士の目線が合い、スムーズに改善施策を行えるようになったのです。

課題の重要度に合わせた取り組みにより目標達成を目指す。
課題の重要度に合わせた取り組みにより目標達成を目指す。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

※CreatorZineへの会員登録(無料)が必要になる場合があります。

この記事は参考になりましたか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/13439 2021/01/07 08:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング