展示会ではさまざまなテイストの作品を クリエイターのこだわりとは
――ここからは、オンライン展示会の運営など実行部隊として関わった鹿塩さんと大津さん、作品を展示したデザイナーの浅見さんにお話を伺えればと思います。まずはお三方のご経歴から教えていただけますか?
浅見 新卒で入社し、いまは5年目になります。FFIXなどでメインのキャラクターデザインを担当している板鼻利幸さんのアシスタントとしてキャリアをスタートし、『メビウス ファイナルファンタジー』、『グランマルシェの迷宮』、『ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』、『チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ』などに携わっています。
担当としてはキャラクターデザインですが、コンシューマータイトルの場合には、衣装や装備などキャラクターの身の回りのデザインを担当しており、最近はアートディレクターとして開発中のゲームタイトルに関わることも多いです。
私はさまざまなゲームタイトルに携わっていますが、同じFFでも、7系、9系、CCを開発している部署は違うため、たとえばFF7の事業部にいながらFF9に携わることはなかなか難しいんです。そうすると、FF9関連はこのクリエイターに描いてほしいという要望がでた場合でも、違う事業部に所属していると請け負うことができない。その垣根を超えるためにクリ推という組織があります。
鹿塩 私は5年ほど前にクリ推に合流しました。以前は同じスクエニの出版事業本部にて、『月刊少年ガンガン』といった雑誌の仕事をしていました。クリ推に来てからは、2017年に行ったFF30周年のプロジェクトを橋本と進めたり、「ファイナルファンタジー ポータルアプリ」というスマホアプリの運営を行っています。また、書籍の担当編集のように、クリエイターが本業の仕事に集中する環境を作るべく、プロジェクトとクリエイターの間をつなぐマネジメント業務も担当しています。
大津 弊社に入社したときは、モバイル事業部でガラケー向けの壁紙や着うたを作ったり、FFや『ドラゴンクエスト』といった社内すべてのIPに関する業務を行っていました。その後、組織変更にともなってFFブランドの管理をクリ推が担うようになり、それを手伝うために私も加わりました。現在は、FFのブランド管理や知的財産まわりの窓口を担当しています。
また私の場合、橋本が実現したいと思っていることをどのように形にしていくかを考えることも多いです。今回の展示会もそのひとつ。出版業界出身の鹿塩が印刷に詳しかったこと、社内のクリエイターさんを我々で把握できるようになってきたことなどが重なり、実現に至りました。
――展示する作品は、どのように選んだのですか?
浅見 スクウェア・エニックスは事業部ごとにしっかり組織がわかれているので、ほかの事業部のメンバーからすると、そもそも浅見さんって絵を描けるんですか?と聞かれることもあるんです。私の場合、たとえば『キングダムハーツ』に登場するドアなどの「小物」だけを作ることもあるので、ドアを描く人が人物も描けるのかはわからなかったりする。ですので、いろいろな事業部で書かせていただいたイラストや武器、人物など、さまざまなテイストの作品を選びました。
最近、新規のゲームタイトルがあまり多くないこともあり、やはり似た雰囲気の絵に偏ってしまうことが多いんです。ですが、たとえばほかの事業部がいままでになかった雰囲気の作品を作りたいけれど、FF系の絵しか描ける人がいないから外部のデザイナーさんにお願いしようとなったときの選択肢のひとつに入れてもらえたら、と思うことも。今回の展示会で、さまざまなテイストの作品を知ってもらう機会をいただけたのは、とてもありがたかったですね。