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アートからアプローチ 不確実性の高い今こそ考えたい、「変化への対応力」の磨きかた

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変わりたくても変われない、イノベーションのジレンマ

 そんななかで今後ますます重要になるのは、変化への柔軟な対応ではないだろうか。COVID-19でデジタル化が加速しているが、今後我々を待っているのはさらなるシンギュラリティだ。今日常識だったことが、未来では非常識になる――。そういった社会の変化と共生していくためには、自分自身が変わる必要があると思う。

 とはいえ、変化することはとても難しい。とくに、一定の経験値を積んだクリエイターやビジネスパーソンの場合は、過去の成功体験が変わることの障壁になることもあるだろう。

 ハーバード・ビジネス・スクールの教授であったクレイトン・クリステンセン氏は、著書『イノベーションのジレンマ』のなかで、業界トップ企業が既存ビジネスの改善にリソースを投下している間に、新規イノベーション機会を見逃し失敗を招くことに触れている。

 これは企業レベルだけでなく、クリエイターやビジネスパーソンの1人ひとりにも当てはまるはずだ。輝かしいスキルや実績を持っていたとしても、未来ではそれが陳腐化し、競争優位性を失っている可能性があるのである。

 そうならないために参考になるのが、チャールズ・A・オライリー氏著書の『両利きの経営』の考えかたある。新しいことを学ぶ「知識の探索」とより深く磨きをかける「知識の深化」。同書で述べられているこのふたつを両立しながら、日々の仕事に取り組むことが必要なのだ。

 私の場合、日々のコンサルティング業務のスキルを磨く一方、新しい領域としてアートやデザインに取り組んでいる。アートを通して学んだ知見や広がった視野をコンサルティング業務に掛け合わせることで、ほかのコンサルタントとの差別化を図りたいと考えている。

 そういった意味でも私は、クリエイターやビジネスパーソンに、アートに触れる機会を増やすことをオススメしたい。アートは、既存の枠組みを見直し、破壊と創造を繰り返す。変化に対応する力を鍛えるための方法として、これ以上のものはないのではないだろうか。以前のようにアートフェアや芸術祭は開催されないかもしれないが、日常のどこかでアートと接点を持ってもらえればと思う。

六本木アートナイト2018 鈴木康広氏「空気の人」(著者撮影)
六本木アートナイト2018 鈴木康広氏「空気の人」(著者撮影)

重要なのはたった3%~4%

 新しいことを学ぶことは変化するためのきっかけになりうる。とはいえ、自分のすべてを急激に変えることはできない。日常という引力に引き戻されてしまうなかで、それを持続することが難しいからである。

 では、どうすれば変化し続けることができるのだろう。その解として私がたどり着いたのは、「変化させるポイントを見極め、その対象を絞る」ということである。

 ファッション・レーベル「Off-White」を手掛け、黒人初のルイ・ヴィトンのデザイナーとなったヴァージル・アブロー氏という人物をご存知だろうか。同氏は著書『複雑なタイトルをここに』のなかで、「3%アプローチ」という考えかたを示している。原型の3%しかいじらないという制約を自分の中で決めてからデザインを開始する、という方法だ。わずか3%と感じるかもしれないが、その箇所とアイディア次第で、これまでになかった新しいデザインが生まれるのである。

 全体の2割が8割の結果を決めると言われる「パレートの法則」でとくに重要と言われている20%を、さらにパレートの法則に当てはめてみると、バージル・アブロシー氏が述べた“3%”の意味が見えてくるように思う。重要である2割のさらに20%、つまり全体の4%が物事の本質なのだろう。

 これから変化が加速する世の中においては、この3%~4%を認識するか否かが、クリエイターやビジネスパーソンの大きな差になるのではないだろうか。そしてこの本質を見極める力も「アート」がひとつのカギとなるのだ。

この記事の続きは、「CreatorZine」に掲載しています。 こちらよりご覧ください。

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https://codezine.jp/article/detail/13571 2021/02/01 08:00

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