はじめに
前回は、1on1の目的やメリットについて説明しました。1on1をうまく活用することで、職場でのコミュニケーションが円滑になったり、周囲のサポートがより受けやすくなったりします。1on1をうまく活用することは、自己成長に大きく関係していると言えます。しかし、1on1で自分の状況や考えをうまく伝えることができないと、その効果を最大限に引き出すことが難しくなります。またエンジニアとしても、複雑な背景情報や因果関係を的確に伝える能力は非常に重要なものです。
効率の良い伝え方は、高速で安定している通信回線のようなもので、相手に正確かつ高速に伝えることができるようになります。
今回は、1on1での伝え方について掘り下げて解説していきます。1on1での伝え方を工夫することで、1on1がより有意義な時間になり、自己成長に繋げられます。ぜひ参考にしてみてください!
1on1での伝え方の重要なポイントは、大きく分けて「事前準備」と「実際の伝え方」の2つの軸があります。

事前準備の重要性
1on1でうまく自分の状況を伝えるには、事前に「どんなことを話すか」を整理しておくことが不可欠です。特に慣れていないうちは、1on1の時間で話そうとしたことを忘れてしまうことや、話がそれてしまうことや、話す内容がまとまらないことが多々あります。
そのため事前準備をしっかり行うことで、1on1の時間を有効に使うことができ、上司やメンターからも有益なフィードバックを引き出しやすくなります。
事前準備のポイント
事前準備のポイントは、1on1があるタイミングで事前準備をするのではなく、毎日少しずつ進めることが大切です。具体的には、以下の3つのポイントを意識して事前準備を行います。
ポイント1:書き込める場所を用意し毎日少しずつ書き加えていく
メモ帳やノートアプリなどの、毎日少しずつ書き込める場所を用意し、そこに1on1で話したいことや、進捗、課題、相談したい内容を書き加えていきます。
最初は、まとまった内容でなくても構いません。時系列単位で思ったことや、あったことを書き連ねる形でも大丈夫です。毎日少しずつ書き加えることが重要なのです。日報のようなものをすでに書いているのであれば、そのついでに書き加えるのもよいでしょう。
ポイント2:「事実」と「感情」をキチンと書く
時系列で起きたことを書くことに慣れてきたら、理路整然と書くだけではなく、その際に自分が何を考えたのか、何を思ったのか、悩んだのかを書くことが重要です。なぜなら、人間は起きたことは思い出しやすいですが、そのときの自分の感情や思いをはっきり思い出すことは難しいからです。
またその際に、書いた事柄が「事実」なのか自分が考えた「感情」や「思考」なのかを区別して書くことも重要です。これにより、自分の考えや感情を整理し、1on1で話す内容を明確にし、適切なアドバイスを受けることができます。
毎日、少しずつ書き加え、1on1の前日などの30分程度のまとまった時間を取れるタイミングでそれらを読み返しつつ、1on1で話したいテーマや内容を選定していきます。また、このタイミングで、前回の1on1での課題などがあれば、それの進捗や解決策を書き加えることも重要です。
ポイント3:定期的に中長期目線でのテーマを整理する
日々の進捗や課題を整理するだけでなく、中長期的に自分が伝えたいテーマを明確にすることも重要です。私のこれまでの経験では、少なくとも3か月に一度は自身の中期的なキャリアやスキルアップの目標に対しての進度や課題を整理し、1on1で話すテーマに反映させることが有効であると感じています。
考える際の進め方としては、1年〜3年くらいのスパンで身につけたいと思っているスキルにどんなものがあるか、そのためにはどんなことをやるべきか、どんな課題があるか、どんなアドバイスが欲しいかを順に整理していきます。
すでにスキル獲得のために進めていることがあれば、それに対する進捗や課題を整理し、1on1でフィードバックを得るための質問を用意しておくとよいでしょう。