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「ActiveReportsJS」ではじめるフロントエンド帳票開発(AD)

画面表示・印刷・エクスポート時の表示有無を切り替えられる「ActiveReportsJS」V2Jのレイヤー機能

「ActiveReportsJS」ではじめるフロントエンド帳票開発 第6回

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レイヤー機能のより実践的な利用法

 ActiveReportsJSのレイヤー機能は、帳票出力のさまざまな場面で活用できます。以下ではレイヤー機能を利用した、より実践的なサンプルを紹介します。

テンプレートが印刷された用紙にはめ込み印刷

 ここでは、すでにテンプレートが印刷された用紙に、内容だけをはめ込み印刷するケースを考えます。図7は、本サンプルで想定する送付状のテンプレートです。

図7 送付状のテンプレート(p002-template/送付状.png、送付状.docx)
図7 送付状のテンプレート(p002-template/送付状.png、送付状.docx)

 このテンプレートに内容をはめ込んで印刷するサンプルが図8と図9です。画面表示時(図8)はテンプレートと入力内容の両方が表示されます。

図8 テンプレートに内容をはめ込み印刷するサンプルの画面表示(p002-template)
図8 テンプレートに内容をはめ込み印刷するサンプルの画面表示(p002-template)

 一方、印刷やエクスポート時(図9)はテンプレートが表示されず、入力内容だけが反映されます。

図9 テンプレートに内容をはめ込み印刷するサンプルの印刷結果(p002-template)
図9 テンプレートに内容をはめ込み印刷するサンプルの印刷結果(p002-template)

 以下で設定方法を説明します。まず、レポートいっぱいにテンプレートの画像を表示するため、レポートの余白をゼロに、用紙サイズをA4に設定します。

図10 レポートの用紙設定(p002-template/p002-template.rdlx-json)
図10 レポートの用紙設定(p002-template/p002-template.rdlx-json)

 レポートにtemplateレイヤーを追加後、画面全体にテンプレート画像を表示するImageレポートコントロールを追加し、レイヤーをtemplateに設定します。

 次に、templateレイヤーを設定します。出力デバイスは「画面に表示」のみを有効にし、「ロック」と「透過」(50%)を設定します。この設定により、帳票デザイナ上でtemplateレイヤーは透過して(薄い色で)表示され、また、誤って編集されることがなくなります。

図11 templateレイヤーの設定(p002-template/p002-template.rdlx-json)
図11 templateレイヤーの設定(p002-template/p002-template.rdlx-json)

 帳票エディタに透過表示されるテンプレートを頼りに、図12の通りレポートコントロールを配置していきます。

図12 レポートコントロールの配置(p002-template/p002-template.rdlx-json)
図12 レポートコントロールの配置(p002-template/p002-template.rdlx-json)

 帳票に表示するデータはリスト3のJSONファイルです。JSONファイルにはコメントを入れられませんが、リスト3では便宜上、コメントでデータ内容を説明しています。

[リスト3]図8、9のサンプルで表示するデータのJSONファイル(p002-template/report-data.json)
[
  {
    "id": 1, // ID ...(1)
    "receiver": { // お届け先の名前、郵便番号、住所、電話番号 ...(2)
      "name": "北村隆司",
      "zip": "000-0000",
      "address": "北海道札幌市中央区南〇条西□丁目 コーポ山本301",
      "tel": "011-151-00〇〇"
    },
    "sender": { // ご送付元の名前、郵便番号、住所、電話番号 ...(3)
      "name": "山本権兵衛",
      "zip": "999-9999",
      "address": "東京都港区中央〇丁目〇-〇",
      "tel": "03-3123-45〇〇"
    },
    "products": // 送付物(No、商品名、数量) ...(4)
    [
      {
        "number": 1, "name": "モバイルバッテリー", "quantity": 5
      },
      {
        "number": 2, "name": "スマホケース", "quantity": 10
      },
      {
        "number": 3, "name": "画面保護フィルム", "quantity": 3
      }
    ]
  },
(略)
]

 (1)がデータのIDで、送付状1ページのデータごとに一意の値を設定します。(2)と(3)はお届け先とご送付元の情報(名前、郵便番号、住所、電話番号)です。(4)は送付物のリストで、データが階層構造になっています。階層構造をもつJSONデータの表示方法については前回記事で説明していますので参考にしてください。

 なお、1ページに1データを表示するため、レポートの「グループ」にリスト3(1)のidを設定しています。idはデータごとに一意の値を設定するので、1ページに1データが表示されるようになります。

図13 レポートのグループ設定(p002-template/p002-template.rdlx-json)
図13 レポートのグループ設定(p002-template/p002-template.rdlx-json)

印刷時やエクスポート時に透かしとQRコードを追加表示

 テンプレートへのはめ込み印刷は「印刷時やエクスポート時に要素を表示させなくする」処理でしたが、今度は逆に「印刷時やエクスポート時に要素を追加表示する」処理の例として、図14と図15のサンプルを説明します。画面表示は図14の通りで、社員IDを入力するとプレビューを表示します。

図14 透かしとQRコードを追加表示するサンプルの画面表示(p003-confidential)
図14 透かしとQRコードを追加表示するサンプルの画面表示(p003-confidential)

 一方、印刷時やエクスポート時(図15)は、「Confidential」の透かしと、入力された社員IDのQRコードを追加します。

図15 透かしとQRコードを追加表示するサンプルの印刷結果(p003-confidential)
図15 透かしとQRコードを追加表示するサンプルの印刷結果(p003-confidential)

 このように動作させるには、まず、社員IDを入力するパラメータemployeeIdを図16の通り設定します。

図16 社員IDのパラメータ(p003-confidential/p003-confidential.rdlx-json)
図16 社員IDのパラメータ(p003-confidential/p003-confidential.rdlx-json)

 次に、レポートにconfidentialレイヤーを追加します。出力デバイスは「印刷」と「エクスポート」を指定して、画面には表示されないようにします。

図17 confidentialレイヤーの追加(p003-confidential/p003-confidential.rdlx-json)
図17 confidentialレイヤーの追加(p003-confidential/p003-confidential.rdlx-json)

 帳票の表示内容やデータは、前回記事で説明した階層JSONデータのサンプルと同じものです。この帳票デザインに「Confidential」の文言を表示するTextBoxレポートコントロールと、QRコードを表示するBarcodeレポートコントロールを追加し、それぞれにconfidentialレイヤーを設定します。

図18 図14、15に対応する帳票デザイン(p003-confidential/p003-confidential.rdlx-json)
図18 図14、15に対応する帳票デザイン(p003-confidential/p003-confidential.rdlx-json)

 Barcodeレポートコントロールは、設定された値に対応するさまざまな種類のバーコードを表示できるレポートコントロールで、このサンプルではQRコードの表示に利用しています。「値」プロパティに、図16で設定したパラメータemployeeIdを設定して、社員IDを埋め込んだQRコードを表示させます。

図19 Barcodeレポートコントロールにパラメータを設定(p003-confidential/p003-confidential.rdlx-json)
図19 Barcodeレポートコントロールにパラメータを設定(p003-confidential/p003-confidential.rdlx-json)

まとめ

 本記事では、2020年12月にリリースされたActiveReportsJSの新バージョンV2Jで新たに追加された、帳票デザインのレイヤー機能について説明しました。レポートコントロールをレイヤーに振り分けて、各レイヤーの表示と非表示を設定することで、画面表示・印刷・エクスポートのそれぞれに適した形式で帳票を生成できます。

参考資料

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この記事の著者

WINGSプロジェクト  吉川 英一(ヨシカワ エイイチ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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