自分に合ったキャリア戦略で得た強み――点が線となり、やがて面となる
4つ目の戦略は、技術コミュニティを活用しまくること。堀尾氏自身、技術コミュニティはエンジニアにとって最高の成長環境だと言う。どういうところが最高なのかと言うと、1つ目は、外の世界や技術コミュニティに参加することで、社内の慣習や考え方に縛られることなく、幅広い知識を学べること。2つ目はプレゼンスキルや初めて会う人とのコミュニケーションを学ぶことができることだ。
「業務で失敗すると上司に怒られ、落ち込んだりしますが、コミュニティだとこういった失敗は許容されて応援してくれるので、プレゼンやコミュニケーションスキルを磨くことができます。コミュニティは社外のエンジニアを知ることができ、より成長を加速させてくれる環境だと思うので、コミュニティをたくさん活用しました」(堀尾氏)
実際に、堀尾氏は技術コミュニティの先輩に背中を押された経験があるという。ある時、コミュニティの登壇で、自信のない様子でボソボソと話していたところ、Microsoft MVPの宮浦恭弘氏に「堀尾さんはもっと自信を持って登壇したほうがいいですよ。発表内容なんて今は間違っていても良いから。たとえそれが間違っていたとしても、後から訂正すればいいのだから自分が調べたことを堂々と発表したほうが良いですよ」とアドバイスをされたという。
ここで堀尾氏は、勇気を持って社外に飛び出すことで、いろいろなことを教えてくれるメンターが見つかるなど新しい出会いや学びがあることを知った。この助言を受けてから堀尾氏は、たとえ間違っていたとしても積極的に登壇することにし、その結果今年の8月に Microsoft MVPを初めて受賞することができた。
続いて、5つ目の戦略は、断るという選択肢を持つことだ。「若手だとなかなか上司に言われた仕事を断れないところがあると思いますが、人生の時間は有限である自覚を持って、やりたい仕事があるなら今すぐやるべきです」と堀尾氏は強調する。なぜやりたい仕事があるなら今すぐやるべきなのか。それは、今やっている仕事が未来の仕事を呼び込むからである。
「例えば、Mixed Realityに関する仕事がやりたいのにPythonの仕事ばかりを受けていたら、次もPythonの仕事が来る可能性が高いです。それはそれで勉強になるので良い面もありますが、『私はMixed Realityをやりたい』というBeingがはっきりしているのであれば、その仕事を他の仕事を断ってでもやるべきだ」と堀尾氏は話す。
とはいえ、「会社員なので上司や会社から言われたことをやらないとだめ」「自分のやりたいことなんて仕事上でできない」という人が多いのが実情。そこで、堀尾氏は6つ目の戦略、Give&Take(返報の法則)で実現してきたという。
「仕事上の依頼は全て取引です。相手に頼みごとをする以上は、相手へのメリットを説明することが必要になってきます。例えば、有料のセミナーに参加したくて上司に相談した場合、断られたらそこでおしまいですが、自分が有料のセミナーに参加して得た知識を元に案件獲得が可能になることや、自分のプロジェクトをより一層進捗させ、成果を出すために参加したいといった交渉ができれば、おのずと自分のやりたいことを相手が飲んでくれるようになります」と堀尾氏は話す。
人に何かを依頼する時は、相手へのメリットを明確化することが大事である。堀尾氏は、先にギブを考える戦略をとり、自分のやりたいことを実現していったという。
そして最後に、これらの戦略で得たMixed Realityという強み、プレゼン力という強み、Azureやクラウド関係のコミュニティで勉強した強み、そして最近だとカメラのオンライン配信スキルを身につけた強みを掛け算することによって、点だけであったのが線となり、面になることで幅広い仕事をすることが可能となる。
例えば、Mixed Realityとプレゼン力で登壇やセールスができ、Mixed RealityとAzureでクラウドアプリ開発をできるようになり、Mixed Reality、プレゼン力、オンライン配信スキルでオンライン登壇やセミナー配信ができるようになる。この掛け算が多ければ多いほどオリジナリティの高い人材、市場価値の高い人材になっていくことができる。
「これらの戦略を実行していく中で、底辺エンジニアだった私は、自分の好きなことを見つけて徹底的にアウトプットをし、コミュニティ活動を通じて成長を加速させることができました。そしてコミュニティ活動やアウトプットを通じてMRPPなどMicrosoftのパートナーシップやMicrosoft のMVPを受賞し、仕事も登壇依頼も増加したということで、結論として、底辺エンジニアでもBeingを見つめ直せば好きなことを仕事にできるのではないかと思います」(堀尾氏)
好きなことを仕事にするには、まずBeing(ありたい姿)を言語化し、自分のスキルを棚卸ししてその差分から生存戦略を考える。戦略を考えたら、自分にフィットした戦略を実行していき、最後は結果分析を行う。戦略の実行と結果から細かな修正を行うことで、Being(ありたい姿)に近づいていくことが可能になる。Beingを深掘りし、戦略的な行動と徹底的なアウトプットを行うことで、自分の強みを最大化することができるようになるというわけだ。
最後に堀尾氏は、「不確定要素の強い時代でも、自分だけのキャリア戦略で、好きなことで突き抜けることができると思います。ぜひ皆さんも自分なりのキャリア戦略を考えてみてください」とU30エンジニアに向けてエールを送った。
