一時Twitterでトレンド入りも 戦略的に仕掛けた“ブチアゲ”施策とは
――“ブチアゲ”プロジェクトでは、どういった施策を仕込んでいたのですか?
岩崎 ただアプリのリリースのみをしてもニュースバリューがないですし、リリースした当日だけ盛り上がって終わってしまう。永続的にグロースハックできるような、拡散しうるなにかをセットで作らないと、1回ダウンロードしたあと放置されてしまうのではないかと思いました。今回それを回避するための施策としてもっともうまくいったと感じているのは、マイページのオープン化です。マイページのURLをユーザーさん自身の希望の文字かつ早いもの順で設定できるようにしました。
YOUTRUSTでは、プロダクト開発と拡散するための施策の連携はとても重要視しています。マーケターだけが先走ってもダメですし、プロダクトサイドがただ開発するだけでも伸びません。どのような施策なら多くの人に届けることができるかということを、マーケティングのトップとプロダクトのマネージャーが常に一緒に考えていました。これはマーケティング側とプロダクトサイドの連携が取れていたからこそ、成し得た良い施策だったと思っています。
朝日 僕自身、アプリのリリースの瞬間に立ち会えたのは4~5回目くらいですが、こんなにリアルタイムでユーザーさんからフィードバックがくるのは初めての経験でした。裏を返せば、こんなに全社で盛り上げるための取り組みをしたこともなかったように思います。必然といえば必然だったのかもしれません。
岩崎 でも、Twitterで「iOSアプリ」でトレンド入りしたのには驚きましたね(笑)。
YOUTRUSTで「毛穴から“楽しい”が滲み出る人を増やしたい」
――これからアプリで実装していきたい機能や強化していきたい部分はありますか?
朝日 当初からリリース時期を伸ばしてはいますが、それでも泣く泣く削った機能もたくさんあります。いいねを押したときにプルっとして気持ち良いといったアプリ独自の体験や、TwitterやFacebookのようにいいねを押すとすぐにUIのフィードバックが返ってくるなどの機能は早く実装したいですね。アプリでは、ウェブとは違う即時性や気持ちよさに、今後もこだわっていきたいと思っています。
そのうえでYOUTRUSTアプリとしてのいちばんの理想は、ふとした瞬間にアプリを開いて見てしまうといった状態を作ること。TwitterやInstagramのように、暇なときに「とりあえずYOUTRUST見よう」と思ってもらうようにしたい。それがアプリを作った意味にもなると思っています。
――今後YOUTRUSTを通じて実現したい世界やビジョンについてお聞かせください。
岩崎 実現したいのは、私たちのミッションでもある「信頼される人が報われる転職市場」にすることです。
いままでの転職市場は、偏差値主義的な部分が多かった気がします。どこの大学を卒業したか、どの会社で働いていたかで、転職先の6~7割が決まっていた印象です。ですがそうでなくても、一緒に働いている人からとても信頼されていて、またこの人と一緒に仕事がしたいと思ってもらえる人はたくさんいるんですよね。
以前まではあまり見えてこなかった信頼情報のようなものを可視化することで、偏差値至上主義だと報われなかった、もしくは報われていたとしてもさらにフィットした仕事があるということを知ってもらえたらと思っています。
飲み屋などオフラインの場をイメージしてみると、「あの人めちゃくちゃ仕事できるよね」とか、「あの人にはもうお願いしないかも……」といった人間くさいやりとりは当然のように行われていました。いままではそれがインターネット上になかったので、学歴や経歴をもとに意思決定をしてきましたが、今後はそんな人間くさい温度感を乗せることもできるはずだし、そういったものが求められる時代に入ってきたと思います。世の中全体としても「経歴よりもリファレンスがほしい」といった風潮もありますよね。
日本では個人情報的な部分がネックになることも多いので、グローバルでは当たり前に行われているリファレンスチェックなどの文化がなかったですが、オフラインでは昔から同様のことをやっていたわけです。実際にYOUTRUSTでも紹介コメントがきっかけで採用につながるケースもたくさんあります。私たちが朝日に声をかけたのもそうですし、誰が信頼に足る人かわかる、そんな体温を感じられるSNSを作っていきたいです。
朝日 人生の大半を占める仕事の楽しさを感じることができるのは「転職しようと思えばできるんだけど、今の会社が楽しいから今の会社にいる」という状態だと思っています。一方で、ほんとうに仕事が辛いんだけど、次の会社が見つかるかわからないから仕事をやめられないという人もいる。つらいまま働いていれば、その従業員の人はバリューを100%発揮できないですし、それはお金を払って雇っている会社にとっても良いことではありません。YOUTRUSTによってそういった人たちを減らしていけば、日本はもっと良い国になるはずです。
岩崎 朝日さんと一緒に働いていると、今の仕事が楽しいということが毛穴から滲み出ているんですよね(笑)。私たちのサービスとしてもそうですが、自社のメンバーがとても楽しそうに仕事をしてくれているのは個人として大きな幸せです。直接自分が影響を与えられる範囲は社内のメンバーですが、YOUTRUSTというプロダクトを通じて、「毛穴から楽しい」が滲み出る人を増やせたらと思っています。
――岩崎さん、朝日さん、ありがとうございました!