デザインプロセスにのっとった5つの解決方法
私たちは、施策を考える際の型としてデザイン思考のサイクルを活用しています。
大枠の流れとして、次に挙げる5つの取り組みを行っています。こうした流れを意識することで、候補者の方の行動から考えると的外れとも言える施策をうつことが少なくなり、一貫性を保ったコミュニケーションが実現しやすくなるでしょう。
- 候補者理解
- 課題を特定
- 施策のアイデア創出の準備
- アイデア創出
- 振り返り
それぞれの詳細を順番に紹介していきます。
1. 候補者理解
候補者理解のフェーズは、デザイン思考では「共感」と呼ばれるフェーズです。共感と言うと難しそうですが、候補者の方の気持ちや行動が現実味をもって理解できればOKです。人物像を詳細にイメージしましょう。
今後の事業計画において、どんなプロジェクトが予定されているのか。そのプロジェクトでは、デザイン面においてどのようなスキルがどれくらいのレベルで求められることになりそうか。デザイナー以外も含め、現在のメンバーの強みや弱みはなにか。どんなスキルや志向性がある方だと充実した活躍をしていてもらうことができるか――。そういったことをひとつずつ洗い出してみましょう。
そこから浮かび上がった人物像を初期のペルソナの仮説として、世の中にいるデザイナーの実態と重ね合わせ、仮説の解像度が低かったところがあれば詳細化してみたり、実際にいるかどうかを検証したりします。
ペルソナを作成する際には、働きかたに影響を及ぼしそうな現在の業務イメージや普段の行動、プライベートでの興味やライフステージ、といった項目はなるべく書き出してみましょう。
モデルとなるデザイナーを設定するのも良いと思います。社外のデザイナーの発信からイメージしたり、社内のデザイナーに転職してきた際の行動を聞いてみるのも有効です。
2. 課題を特定
候補者のペルソナのイメージができてきたら、自社の現状を分析してみましょう。
採用プロセスを振り返り、採用マーケティング施策を洗い出します。その際、ペルソナの行動と比較しやすくするために、候補者の方を主語にして行動の流れをまとめていくことをオススメします。
私たちの場合、エンプロイジャーニーマップの「認知」「採用」フェーズを拡張し、「キャンディデート(=候補者)ジャーニーマップ」を作成して整理を行っています。
候補者視点での自社選考プロセスを書き出し、ペルソナを作成した候補者の方の行動イメージと比較すると、ギャップが見つかると思います。これが、解くべき課題のタネになります。
またジャーニーに、採用プロセスの数値成果を紐付けておきましょう。数値だけだと採用のプロセスが直線的なものに感じてしまいますが、実際には情報収集や検討を繰り返す反復的なものだとわかり、改善策が出しやすくなるはずです。課題に優先順位をつけて、クリティカルなものから解決に取り組みましょう。
3. 施策のアイディア創出の準備
ペルソナのイメージが湧き、課題が特定できると行動に移したくなりますが、その前にある準備を行うことをオススメします。
それは、発信のガイドラインを作成することです。自社の発信をする際のポリシーのようなもので、自分たちが働くうえで大切にしたいことや自社の強みをまとめておきます。自社のミッションや行動指針があれば、それをベースにしても良いでしょう。
私たちの場合、社内向けに定めている「デザイン・フィロソフィー」をガイドラインのベースにしています。あわせて、やらないことや発信しないことも決めています。
これがあると、発信やコミュニケーションの一貫性が担保され、候補者から見た入社前後のギャップも少なくすることができます。