「ポチッと押すと1分後にサーバーが使える」スピード感に魅せられて
クラスメソッドは「すべての人々の創造活動に貢献し続ける」という理念のもと、AWSをはじめとするクラウド、アプリ、データ分析をはじめとするIT技術コンサルティングやシステム設計・開発サービスを提供するIT企業である。同社の代表を務める横田氏がクラスメソッドを立ち上げてから今年の7月で17年目。創業当初から「コンシューマ向けのシステムではなく、それを支える企業の技術支援をしたいと考えており、その思いは今も変わらない」と横田氏は語る。
横田氏がAWSに出会ったのは2008年。「AWSがリリースされたのは2006年なので、かなり早いタイミングで触れることができたと思います」(横田氏)
創業当時、クラスメソッドの事業の中心はビジネスアプリケーションの開発だった。より顧客に満足してもらえるよう、UIにも力を入れたという。そして徐々に「本番に近い環境を用意してほしい」と、データのバックアップ、セキュリティ、ミドルウェアやインフラまでを含めた全方位での支援が求められるようになった。
そこで横田氏は、こうしたニーズに応えるためにデータセンターを借りたらいくらになるのか、見積もりを取ってみた。「ラックを借りて、ロードバランサを入れて、電源二重化、専用のネットワーク敷設などを行うと、見積もりが大きくなってしまうんです。システムを運用するところまで携わりたかったのですが、資金的に難しかった」(横田氏)
データセンターを借りる以外に、もっと良い方法はないか──。そこで出会ったのがAWSである。「Amazon EC2もインスタンスストアしかなく、バックアップもAmazon S3を使うしかありませんでしたが、ボタンをポチッと押すと1分後にサーバーが使える状態になる。しかもアプリケーション開発エンジニアにとっても、インタフェースが扱いやすい。これは画期的だと思いました」(横田氏)
AWSのスピード感とカジュアルさが気に入った横田氏は社内の開発プラットフォームをクラウドに切り替えていった。
「個人的には、自分の時間をたっぷり使ってでも、この世界にはまっていきたいと思いました。一方、会社としてはお金もない、施設もない、人もいない。何も持っていないなら、クラウドでいいじゃないかと、半ば割り切りのような形でAWSに注力していくことにしました」(横田氏)
AWSには、顧客のニーズを実現するための多様な選択肢が存在する
しかし、現在ではAWSの進化と共にクラウド活用の流れが加速。多くの企業が当たり前のようにクラウドを活用するようになり、開発者が使える機能も増えた。
「最初はAWSでサーバを立てるというシンプルな使い方だったのが、ネットワークにかかわるサービスがたくさん登場してきたことで、アプリケーション開発者であっても、データベースやロードバランシング、さらにはAWS Direct Connectを使ったデータセンター間接続など、ネットワークエンジニアの領域まで踏み込むことができるように変わってきています。AWSはデータセンターの時間貸しから、その裏側まで踏み込み、アプリケーション開発者の生産性を劇的に上げるためのツールセットがたくさん用意されたサービスとなりました」(横田氏)
また、他のクラウドプラットフォームやオンプレミスはもちろん、SaaSやPaaSなどレイヤーの異なるさまざまなプロダクトと組み合わせることで、さらに可能性は拡がる。顧客のニーズを実現するためにさまざまな選択肢が存在する状態だ。
このようにクラウドを取り巻く環境が変化しているなかで、クラウド技術を活用する開発者には何が求められていくのだろうか?