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クラウドエンジニアたちの現在地と向かう先

これからのAWSエンジニアに求められること――クラスメソッド 横田聡氏に聞くクラウド時代のキャリア

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AWSを活用するうえで、本当に身に付けるべきスキルとは

 このようにさまざまな方向にAWSの世界が広がっていく中で「『AWSができます』という言葉の意味合いが変わってきている」と横田氏。それよりも重要になるのは、「AWSをある程度理解しているという前提で、『プログラミングに詳しい』『ネットワークに詳しい』『データベースに詳しい』『ミドルウェアに詳しい』『セキュリティに詳しい』というように専門性を持っていること。その方が仕事は広がっていく」と横田氏は言い切る。

 専門スキルは技術だけではない。「顧客の業務に詳しいということでも良い」と横田氏は言う。その場合は、顧客が抱えている課題を、AWSを使って解決する方法を提示することが価値となる。「AWSは専門の製品を購入するか、自分で作らなければならなかったモノがボタン一つで実現できる、いわば特急券。その特急券を使って、どんな価値を顧客に提供できるのかが重要になる。もちろんツールを極めるという道もあるが、中長期的なキャリアプランから考えるとそこに時間を費やすのはもったいない。その時間を技術かビジネスか、いずれかの専門スキルを深掘りすることに使っていくことをお勧めしたいです」(横田氏)

 クラウドを活用するエンジニアとしての強みをさらに発揮するため、プラスアルファで学んだ方が良いものについてたずねると、「AWSが提供している機能、例えばAmazon RDSであれば、データベースの仕組み、ネットワークであれば通信の仕組み、機械学習であれば機械学習の仕組みというように、基本的な知識を把握することです。そうすることでツールの理解も深まり、活用スキルもレベルアップできるからと思います」と横田氏は答える。

 それだけではない。AWSが提供するサービスの裏側の技術に関する基本的な知識は、GCP(Google Cloud Platform)やMicrosoft Azureなど、他のクラウドサービスでも応用できる。つまり「長く使える技術」なのだ。

キャリアを形成する、技術と人とのつながり

 とはいえ、AWSは新機能が続々と登場するなど、AWSを活用するエンジニアとしてはそれらをキャッチアップするだけでも難しい。キャッチアップのコツについてうかがうと、「多くの人は『こんな新機能が出ました』というニュースを読んで満足してしまいます。でもそれでは足りなくて、面白い技術だと思ったら、必ず自分で使ってみること。そして自分なりに理解して、ブログなどに書いてみる。そうすることで知識として定着する。これが一番効率の良い学習方法だと思います」と横田氏は言う。

 自分で試したいと思っても、なかなか時間が取れない人も多い。そういう場合は「実際に触った人のブログを見つけて、それをじっくり読むことです。そうすることで疑似体験ができると思います」と横田氏はアドバイスする。例えばクラスメソッドが運営する技術ブログ「DevelopersIO」で、そういう記事を探してみるのもいいだろう。

 またJAWS-UGもエンジニアにとってインプットおよびアウトプットの場として活用できそうだ。だが横田氏は「JAWS-UGは情報を得ようとするために参加するのではなく、自分が何を与えられるかという視点、Give First(ギブファースト)で活動することが大事。それが後のキャリアに大きな影響を与えてくれる」と言う。

 JAWS-UGの初期メンバーである横田氏は当初、イベント終了後に開かれる懇親会のための会場調整、いわゆる宴会の幹事役を担当していたという。宴会の幹事という形でコミュニティに貢献していくことで、参加者に顔を覚えられた。またDeveropersIOもギブの活動の一つで、ここでも多数の記事を寄稿し発信。ギブファーストで活動してきた横田氏の周りにはさまざまな会社のCTO、技術で名を馳せた人がどんどん集まり、協力してくれるようになったという。

 「今はエンジニアひとりでも、会社をつくり、サービスをつくり、それをサブスクリプションで販売するなど、いろいろなことがすぐできる時代です。クラウドエンジニアとして生きるのも一つの選択肢ですが、若い人は線引きせずに関心のあることすべてにチャレンジすると良いと思います。その中で、『ここが楽しい』『深掘りしたい』というところがあれば、そこに専門性を作っていく。エンジニアというより、一人のクリエイターとして、キャリアを積んでいってほしいですね」(横田氏)

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小林 真一朗(編集部)(コバヤシシンイチロウ)

 2019年6月よりCodeZine編集部所属。カリフォルニア大学バークレー校人文科学部哲学科卒。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/14635 2021/09/13 11:00

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