デザインでサービスのパーソナライズ化を
私たちユーザーは、個人差はあると思いますが、常により良い体験を求めています。
実用性はもちろん、オシャレなトレンドを追いかけたり、モダニズムな体験を求めることもあるでしょう。それらのニーズをひとつの概念ですべて兼ね備えることは不可能だと思いますし、根本から変えていく必要があったのだと考えています。
たとえばスマートフォンの特性や機能は進化し続けていますし、サイズも巨大化しています。画一的なアプローチではユーザーのニーズを捉えきれません。
また、生活の多くの領域にGoogleのサービスが使われるようになりました。私自身、仕事でもプライベートでも毎日のように使用しています。
「Material You」はユーザーの行動やニーズに対し、さらに豊かな製品表現を可能とします。それにより、個人のアイデンティティをいっそう強化、かつサポートすることができ、パーソナライズ化を加速させていくと感じました。

デバイスに「愛着」を持たせるUXプラットフォームへの進化
従来の「Material Design」の表現はシンプルで美しく、ユーザーにとってはわかりやすい反面、与えられたデザインとしての側面もありました。
たとえばアニメーションの使いかたは、インタラクションするオブジェクトが情報をわかりやすく伝えるためのイチ手段であったり、レイアウトは画一的で、アプリやサービスの個性やブランドとしてのアイデンティティを伝えるメッセージとして配色も使われてきました。
「Material You」のコンセプトは、まさに「You」という言葉に込められた“ユーザー”がよりデバイスに「愛着」を持てるようにし、さまざなユーザーのニーズやアイデンティティに寄り添うことが可能なUIを提供すること。これによって、「パーソナライズされたUXプラットフォーム」に大きく変革しようとしています。
あらゆる状況や場所も普遍的に調和することが「Material You」の目的で、全員にとって美しくシンプルで理解しやすいUIデザインを提供するという概念から、ユーザーに寄り添ったUIの提供へと進化しています。それはアクセシビリティの向上はもちろん、人とデバイスとの関係性をより深く洞察し、つなぎ合わせることで個人の感情を呼び起こし、「愛着」へと昇華されていくのではないでしょうか。
「Google I/O ‘21」での「形が機能に従う代わりに、形が感情に従ったら?」とい問いかけが今後どのように展開し、表現されていくか。そして我々は共同クリエイターとしてどうやって携わり、「愛着」を手にしていくか――。まずはAndroid 12の正式リリースを楽しみに待ちたいと思います。
また、Googleの「Flutter」が「Material You」に正式対応のアナウンス待ちです。「Flutter」は、クロスプラットフォームに対応しており、ワンソースで複数のプラットフォーム(iOS、Android、Web、Windows、Mac、Linux)に対応したアプリを開発することができます。「Material You」による統一感のあるUIデザインの利用が複数のプラットフォームで進みそうです。
今回「Material You」を通して「愛着」という言葉でユーザーに寄り添うUIについて触れてきました。次回以降の記事では、UIUXやデザイン思考について紹介していきたいと思います。