NFTの基本サービス要素
サービス全体のベースは当然ながらNFTです。NFTの実体そのものはスマートコントラクトで、その中(オンチェーン)にあるのは、実際のところ所有者ユーザーの識別子やコンテンツの価値表現のための最小限のデータセットと、ユーザー間で相互取引を実現するといった基本機能(連載第1回参照)だけです。ユーザーにとってNFTを持つ意味は、基本的にNFTに紐づくコンテンツや、NFTを使って提供される何らかのサービス(例えばゲーム)にあります。また、スマートコントラクト単独ではUI/UXを提供しませんが、それらがなければ大多数のユーザーにとって利用のハードルが高すぎます。UI/UXを提供するのが、NFTマーケットプレイスやWalletアプリです。
NFTマーケットプレイスはNFTを新たに作るといったNFT発行側と、発行されたNFTの保有者となるNFT取得側の双方の利便を図るUI/UXを提供します。発行側に対してはNFTの作成や管理、販売チャネルの提供、取得側に対しては既存のNFTの検索や購入といったサービスを提供します。こういったUI/UXの提供は、従来型のWebサービスが得意なことで実績も十分ありますので、NFTマーケットプレイスは従来通りの中央集権型のWebサービスの技術を利用して構築することができます。既存のサービス事業者としてはOpenSeaがあります。
NFTを取得したユーザーは、自分のデバイス(PC、スマホなど)にWalletアプリとノードをインストールしてブロックチェーンネットワークに接続すれば、Walletアプリの機能次第ではあるものの、自分のデバイスでNFTを見たり、誰かと取引したりすることができます。実際のWalletアプリとしては、Metamaskなどが利用できます。また、自分でノードを動かすのが理想的ではありますが(連載第4回参照)、それが難しければ、ブロックチェーンネットワークへのゲートウェイとなるノードを提供してくれるサービスが利用できます。このようなサービスにInfuraがあります。このように、ユーザーは自分自身でも自由にNFTの取引ができるため、中央集権的なマーケットプレイスがあったとしても、そこにいつまでも縛られてしまう必然性はありません。また、別のマーケットプレイスが同じようなNFTサービスを提供しているなら、そちらに乗り換えることができるかもしれません。
一方で、NFTの管理や販売といった一連の機能やUI/UXのWebコンテンツ提供もすべて非中央集権化してしまう技術も発展中です。前者の一連の機能は自動化しようと思えば可能と考えられます。このような自動化を非中央集権的に実現しようとするのが、DAO(=Decentralized Autonomous Organization:非中央集権型自立組織)と呼ばれるスマートコントラクトのアイディアです。DAOは、これまで中央集権的な管理の下で組織的に実行されていた振る舞いをスマートコントラクトのロジックに書き記し、そのロジックを非中央集権的に実行することで、文字通り自立した組織となることを目指します(ただし、非中央集権的に振る舞う組織のロジックとその実行はどうあればよいのか、これはかなりの難問です)。後者のWebコンテンツの置き場所としてはP2Pネットワーク技術を利用した非中央集権型の分散ファイルシステムで、プロダクト例としてはIPFS(=InterPlanetary File System)があります。
