子育てをしながら部長職としてチームの成長に尽力
――現在は、どのような働き方をされているのですか。
朝は子どもが学校に行くところから1日が始まります。見送った後の9時頃が始業で、出社することもありますが、今はリモートワークがメインです。1カ所だけ他のメンバーと違うところとしては、リモートワークの日は子どもの帰宅時間に合わせて30分間だけスケジュールをブロックし、帰ってくる頃に子どもをきちんと迎えられるようにしています。マネーフォワードは時間単位で有給を取れるなど時間の融通がきくので、私もオフィスに通っていた頃は、よく幼稚園の行事のために半休をとっていました。同じように子育てをしながら働いている人は、そうした制度をうまく活用しています。
――本部長としてご活躍の西方さんですが、チームをマネジメントしながら、ご自宅では家族のケアもされているんですね。お忙しい中で、そのバランスをどのようにコントロールされていますか。
時間を区切って、仕事モードと家庭モードを分けてはいますが、リモートワークになって時間的な境目がなくなり、切り替えが大変になりました。1on1や会議などでシリアスな会話をした直後に、「ママー!」と子どもが飛び込んできたら一気に「なにー?」って切り替える必要がありますから(笑)。
――それでは、マネジメントの際に意識されていることや、大切にされていることについてお伺いできますか。
いろんな人がいるチームをいかに成長させるか、という目標をしっかりと意識することです。引っ張り上げるマネジメントもあれば、押し上げるマネジメントもあり、人によって使い分ける必要があると考えています。どこまでわかってあげられるか、気持ちに寄り添えるのかという葛藤も常にあります。しかし、あくまでマネジメントは手段であり、それが目的になってはならないと思っています。なので実際のところ、あまり「マネジメントをしている」という感覚はありません。誰もが気持ちよく自分の能力を発揮し、協力しあって成果を上げる。そのために問題になっていることを解決し、障害になっているものを取り除く、そういう環境づくりをする役割だと認識しています。
その意味で、「マネジメントとしての悩み」は考えたことがなく、それよりもどけるべき障害物は次から次へと出てくるので、それにどう対応していくかに日々頭を悩ませています。ただ、私が障害物をどけてしまうことで、メンバーが成長機会を逃していないか、という視点は忘れないでいたいですね。例えば、もう少し離れて全体感を見るマネジメントも必要なのではないかと思う時もあります。
――そんな西方さんにとって、マネジメント職のやりがいや醍醐味はどんなところにありますか。
やはり「成長」です。個人個人もそうですが、チームとしてもできなかったことができるようになっていくのは、大きな喜びがあります。メンバー同士ですぐ近くで一緒に仕事をしているのと比べ、マネジメント職は少し離れて俯瞰しながら、チームや個人を見ることができるので、特に成長ぶりが明らかに見えてきます。
ずっと一緒にいる自分の子どもよりも、定期的に会う他人の子どもの成長のほうが際立って見える感覚に近いかもしれません。定期的に1on1を行うのですが、その度にメンバーの成長を実感します。そうした見方は、性格的なものなのか、育児の体験を経て後天的に身についたのかわかりませんが、他者が成長するというのがこんなに嬉しいものだとは思わなかったです。そのために工夫したり、心を砕いたりするのが大きなやりがいになるというのは、マネジメント職だからこその醍醐味だと思います。
誰もが「お互いさま」で働ける環境づくり
――育児の経験がマネジメントのあり方に影響している可能性があるということでしょうか。
直接影響しているかといえば、わかりません。でも似ているところがあるかもしれません。例えば、一般的なチームビルディングの本を読むと、「モチベートすること」が大切だとよく書いてあります。たしかに、無理やりお尻を叩いてやらせるのではなく、「なぜやるのか」「目標は何で、ゴールはどこか」を一人ひとり考える機会を得ることで、自律的に行うようになります。まさに子どもにも同じことが言えると思います。逆もよくあり、子供に向かって感情的に怒ってしまったときに、「それじゃ何が悪いかわからないよ」と泣きながら言われて、「これを職場でやってはいないか」とふと省みることがあります。
――そうしたことも含めて、特に子育て層など時間的な制約がある方のマネジメントについて、何かコツなどがあれば教えてもらえますか。
それは、私が教えていただきたいくらいです(笑)。もちろん各タスクをより効率的に行えればいいし、そのためのコツや工夫はいろいろと取り入れていますが、私の場合は「いかに人に頼れるか」だと思っています。それはチームの誰にとっても共通のことで、誰かの家族が病気になったり、本人が事故で一時的に働けなくなったり、いろんな事情が生じる可能性があります。なので、「ここからは家族のための時間だから」と言いやすい環境づくりができるように心がけています。
そのためには、お互いに情報を開示し合うことが必要で、それは"情"に訴えるというのではなく、効率的にサポートしやすくすることが目的です。その上で「お互いさま」という関係を作れればいいですね。「子どもがいるのだから仕方ない」と一方的に割り切るのではなく、他の部分で誰かを支えようとする気持ちと行動。それは家族に対しても同様で、仕事の内容や責任などもできる範囲で伝えて、それがたとえ他の人のためであっても、時には協力してもらう。そういった皆の「お互いさま」が集まっていけば、気持ちよく仕事ができる環境になるのではないかと思います。
子どもも小学校高学年にさしかかるので少しずつ理解できるようになりましたし、仕事における責任と助け合いについて価値観を共有している実感があります。
――それはすばらしいですね。今後、西方さんが目指す将来的な目標などがあればお聞かせください。
以前から、人を育てる仕事をしたいと常々思ってきました。例えば社内の研修やマネジメントもそれに該当すると思いますが、若いエンジニアの育成に貢献できたらと考えていますし、特にポテンシャルを引き出せるような人になりたいですね。
また、個人的にはやはり開発が好きなので、もっと人の役に立つアプリをつくりたいという気持ちは持ち続けています。子どもも大きくなって時間が取れるようになってきたので、そこに時間を使いたいです。人も育てたいし、自分もエンジニアとして成長したい。また本を書きたいと思っているので、少しずつネタも溜めたいし、欲張りかもしれませんが(笑)。
――そんな西方さんに触発されてチャレンジする方が増えればと思います。この度は、貴重なお話をありがとうございました!

