C言語の単位を落とし、辿り着いたWeb開発のバイト
──まず、神谷さんの現在の仕事についてお伺いできますか。
2022年4月に第三子の育休から復帰して、子ども向けプログラミング教室「QUREO(キュレオ)プログラミング教室」の事業部で、Scratchベースのオリジナル教材を開発するチームに所属しています。 いまは、その海外版「QUREO」のPM(プロジェクトマネジャー)を任されています。英語のスキルと、エンジニアリングのスキル、その両方を活かせるモチベーティブな仕事です。
神谷優さん
ソフトウェアエンジニア。株式会社サイバーエージェントに新卒エンジニア職1期生として入社。
一貫して自社メディア開発に携わる。2010年よりスマートフォン向けサービスをリードエンジニアとして複数立ち上げる。2013年には社会人大学院生として修士課程を修了(国際情報通信学)。2015年以降は3度の育休を挟みつつ、音楽配信サービスや子ども向けプログラミングサービスの開発に従事。同時に社内D&Iワーキンググループのメンバーも務める。
業務外ではNPO法人Waffleにてプロボノとして、また女性向けプログラミングブートキャンプを運営する「Ms.Engineer」に共同創設者として立ち上げに参画する。2022年春、Google社が運営する「Women Techmakers Ambassador」に選出。
──キャリアとしては、エンジニアが長いんですね。
一番長いのはサーバーサイドです。2008年にサイバーエージェントに新卒入社し、ずっと開発に携わってきました。2015年に第一子の育休復職後は、サブスクリプション型音楽配信サービスのグループ会社で30人規模の新規プロダクト開発に携わるようになりました。
2020年には自ら希望して教育系のグループ会社に。「QUREO(キュレオ)」の開発やプロマネを担当してきました。この頃から社外活動にも積極的に取り組むようになり、2021年初旬にやまざきひとみと「Ms.Engineer」を立ち上げました。いまはメインの運営担当から外れていますが、受講生向け座談会や講座を行うなど関わりは持ち続けています。
──そもそもエンジニアを目指したきっかけについてお教えいただけますか。
もともとエンジニアを目指していたわけではありませんでした。大学で意図せず文理融合型の情報系学部に入ったので、プログラミングの授業があったんですね。
ところが必修のC言語がものすごく苦手で。2年連続で単位を落としてしまったんです。これはいよいよ留年するぞと思って、近所にあった小さな開発会社でPHPとMySQLでつくるWebアプリ開発のアルバイトをはじめました。
そこではじめてWeb系の言語に触れて、「これなら、いつも見ていたWebサービスを自分の手でつくれるんだ」と気づいたんです。それからどんどん開発が楽しくなって、「せっかく情報系の学部に入ったんだし、経歴を生かした仕事をしたい」と思うようになりました。エンジニアなら、手に職だし結婚・出産しても働き続けられるだろうという淡い期待もありましたね。
エンジニアは超実力主義だから男女平等?
──実際、新卒でサイバーエージェントに入社してみていかがでしたか。
まわりは大学院で専門的な研究をしてきた理系の人や、プログラムをばりばり書ける人たちばかりで、すごいコンプレックスを感じました。文系エンジニアである自分と、そういう方たちの差をはっきり感じて必死に勉強しましたね。
──当時からジェンダーギャップを感じることはありましたか。
いや……むしろ当時は「IT業界は超実力主義で男女平等で良かった」と思っていたんですよ。同期にサーバーサイドエンジニアは16~7人くらいいて、その中で女性は2人だけ。それでも、当時にすれば女性比率は高かったほうだと思います。
男性だらけの環境でも、エンジニアだから技術があればジェンダーに関係なく仕事ができる。それで仕事もプライベートも区別せずフルコミットで働いたし、男性だらけの勉強会も疑問に思うことなく参加していました。