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等身大のエンジニア女性のまなざし

「IT業界のジェンダーギャップ解消を」神谷優さんが思う、女性エンジニアが増えたほうが良い理由とは? Equityを実現するために企業が取り組むべきこと

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「母親でエンジニア」はここにいる、と発信していく

──ジェンダーギャップ解消へ向けて、どのような課題感を抱いていらっしゃいますか。

 一番はロールモデル不足です。「女性が情報科学を専攻するきっかけ」というGoogleのレポートを紐解いてみると、「社会的な奨励(親や先生が、その人の選択に賛意を示すこと)」「職業の認識(ロールモデルに接することでエンジニアという職業を認識すること)」の2点だそうです。

 現状「母親で、エンジニア」という人は多くありません。でもまったくいないわけじゃなくて、私は3回産育休を取って、3回とも開発の最前線に復帰しています。

 「母親でエンジニア」をやっている人はここにいる、そういうことをVisibility(可視化)したい。子育て×テックPodcast「momit.fm」はそんな思いで、一つ上のインフラエンジニア出身の先輩と2人で日々配信しています。Women Techの世界でVisibilityが効果的だということは、2022年春より就任しているWomen Techmakers Ambassadorのプログラムでもよく言われています。

 技術を身につければ、女性のQOLは大きく向上します。使える時間が限られる子育て中でも、テクノロジーの力で効率化できれば仕事の時間も子どもとの時間も、両方取れる。

 「毎日繰り返されるルーティーン作業は自動化する」というようなエンジニアリングの考え方そのものも含めて、いろんなTipsをmomit.fmでは伝えています。

 そして、大手のIT企業について思うのは、もっと女性エンジニアを「育てる」視点を持ってほしいということです。よく「スキルの高い女性エンジニアなら採用したい」という話を聞きますが、それじゃ女性がエンジニアになりづらい社会構造は変わりません。東京工業大学がアファーマティブ・アクションとして女子枠を設置したことは記憶に新しいですが、企業としても今ある格差を埋める働きかけが必要なんです。

 まだまだ女性が働く際に大きなアンコンシャス・バイアスがあって、パートナーから諸手を挙げてキャリアを応援されていない人もいる。あるいは、小学生と保育園児2人の3人の子どもがいながらMs.Engineerの難しいブートキャンプで学んでいる人もいる。

 子どものいる状態で学び続ける、ってそんなに簡単なことじゃありません。でもそうやってなんとかスキルを身につけても、企業は「30代で初心者じゃなぁ……」って言う可能性があるじゃないですか。

 それじゃジェンダーギャップは解消しないし、Equityも実現しない。女性エンジニアを育てる、スキルアップも含めたキャリアを支援する、それが真の公平性だし、それを実現すれば女性エンジニアの数も増える。すると親や先生も「女性がエンジニアになる」ことを当たり前に思うはず。好循環が生まれると思います。

自由と主体性を手に入れられた、エンジニアという仕事

──ご自身のキャリアを振り返って、エンジニアになって良かったと思いますか?

 時間と場所を問わずに働けるのは、本当に良かったと思います。リモートでも仕事がしやすいですし、定時までに終わらなかったら子どもが寝たあとにちょっと作業することもあります。旅行先でワーケーションもできますしね。

 それに、自分の手でモノをつくりあげられるのもいいですよね。私は子どもの夏休みの宿題をWebページにしたり、子どもにも教えやすいScratchでお手伝い管理アプリをつくったりと技術を私生活にも生かしています。やりたいことを形にできれば、選択肢も広がりますから。

──最後にエンジニアとしての目標と、みなさんへメッセージをお願いします。

 今後はエンジニアとしてのバックグラウンドを、プロジェクトのマネジメントに活かしてどんどん挑戦していきたいですね。技術的には、GCPなどのクラウドを使った簡単なデータ分析やAI/ML製品を扱えるようになりたいと思っています。

 個人的には、エンジニアという職業はおすすめです。まずは初心者向けコースの充実しているProgateで勉強や、仕事をしながらできそうなプログラミングのスクールに参加するなど、一歩踏み出してみてほしいなと思います。

──神谷さん、貴重なお話をありがとうございました! さらなるご活動の広がりを楽しみにしています。

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この記事の著者

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

 ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

鍋島 英莉(編集部)(ナベシマ エリ)

2019年に翔泳社へ中途入社し、CodeZine編集部に配属。同志社大学文学部文化史学科卒。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/16896 2023/01/11 11:00

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