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IBM、IBM Cloudの最新動向を発表 CTCとの協業やミッションクリティカル向けのサービスなど

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 日本IBMは、11月29日に記者説明会を開催し、IBM Cloudに関する事業戦略について発表した。

DX第2章で求められるクラウドを目指す

 まず、日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員 テクノロジー事業本部 クラウド・プラットフォーム担当 今野智宏氏が登壇し、IBM Cloudの最新動向について発表した。

 今野氏は、「DXが第2章に入った」と言われていること引き合いに出し、DXの第1章が、GAFA主導のイノベーションであり、一部の業務領域におけるイノベーションであるとしたら、DXの第2章は、企業がリードするイノベーションであり、基幹業務のクラウド利用が進んでいくことを表すと紹介した。

 このように「単純なクラウド化からハイブリッドクラウドを活用した変革」に時代が突入していくなかで、今野氏は3つのポイントを挙げた。

 第1は、複数の業務・企業をまたがり価値が生まれる「共創」が価値になること。第2は、これまではクラウドの経済性にフォーカスされていたのが、円安やデータ主権の問題からクラウドに求められるものが変わってきたこと。第3は、ミッションクリティカルを支えるクラウドの重要性について言及した。

 ここで今野氏は、IBM Cloudの掲げる3つの強み「Enterprise Grade Cloud」「Security Leadership」「Open Hybrid Cloud Services」を紹介した。

IBM Cloudの3つの強み
IBM Cloudの3つの強み

 「Enterprise Grade Cloud」の観点では、VMware、SAP、IBM Power、IBM Zなどミッションクリティカルなシステムをクラウド化するためのサービスの提供や、説明責任のあるクラウド、金融サービス向けクラウドをはじめとした業界向けクラウドの提供などがある。

 「Security Leadership」の観点では、業界最高水準の暗号化技術に対応していることや、「Open Hybrid Cloud Services」では、ベンダーロックインの排除や、コンテナ化によってオープンなクラウドの実現などについて紹介した。

CTCと協業し、ハイブリッドクラウド支援をグローバルに展開

 続いて、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC) ITサービス事業グループ エントラステッドクラウド技術事業部 事業部長 東智之氏が登壇し、IBN Cloudとの協業について発表した。

 CTCでは複雑化する企業のハイブリッドクラウド環境に関して、ハイブリッドクラウド支援サービス「OneCUVIC」を提供している。今回新たに、CTCはIBMと共同で、「OneCUVIC」をグローバルに展開するという発表を行った。

CTCとの新たなパートナーシップ
CTCとの新たなパートナーシップ

 東氏は、協業の背景として「IBM Cloudの共創、クラウドに関する新たな価値を作る、ミッションクリティカルを支えるといった方針が、CTCのビジョンと非常に近いから」と述べた。

サステナビリティへの取り組みなど、IBM Cloud最新アップデート

 ふたたび今野氏が登場し、IBM Cloudの最新アップデートを紹介した。

 第1のポイントはサステナビリティ。データセンターの冷却効率や脱炭素に関して具体的な目標を掲げ、取り組みに対してコミットしている。また、サービス別、データセンター別の二酸化炭素排出量などを可視化できる「Carbon Calculator」を提供予定。

 企業間共創による社会全体の課題解決にも取り込んでおり、三菱重工、三井化学、旭化成での取り組みに、IBM Cloudが協力している。

 第2のポイントは規制が厳しい業界向けクラウド。キーワードとしてユーザーが権限を持ち、自国でデータを管理・保存・利用するクラウド形態である「ソブリン・クラウド」が挙げられた。ソブリン・クラウドの代表的要件に関してもIBM Cloudではサービスを提供しており、ベアメタルサーバーや、データがオンプレミスに有りながらクラウドのサービスを便利に使える機能などについて紹介した。

ソブリンの代表的要件に関するIBM Cloudの主要サービス
ソブリンの代表的要件に関するIBM Cloudの主要サービス

 IBM Cloudではさらに、金融業界との協業で構築されたクラウド「IBM Cloud for Financial Services」も提供している。

 第3のポイントはクラウド品質。IBM Cloudの品質改善状況について、2021年1月~8月と2022年1~8月を比較して、重要度1障害(クラウド環境に大規模な影響が出て、多くの利用者が正常に利用できないような障害)は90%削減することができたことを紹介した。

 第4のポイントはマルチ・プラットフォーム。IBMではマルチアーキテクチャのクラウドを提供し、Windows、Linux、VMwareといったインテルベースのアーキテクチャのほか、Power、IBM Zなども活用できる。

 さらに量子コンピュータへの取り組みも継続し、2022年春には2025年までのロードマップを公開した。IBM Cloudではすでに量子コンピュータが利用可能なサービスを提供している。

 最後に、クラウド、オンプレミス、エッジなどあらゆる環境でのアプリケーションの構築や実行を可能にする分散クラウド「IBM Cloud Satelite」を取り上げ、東京電力グループのテプコシステムズでの事例を紹介した。

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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