「1回で正解にたどり着かなくてもいい」5回目の面接でGoogleへ!
卒業後は、家電メーカーで組み込み系の開発を担当し、その後モバイルゲームのインフラエンジニアに転職する。そんな岩尾氏がクラウドに出会ったのは、2012年の秋に米国で開催されていたクラウドベンダーのカンファレンスに参加したことがきっかけだという。務めていた会社のCTOが招待されていたが行けなくなり、代理で参加した初の海外出張だった。
「ラスベガスで開催された1万人以上も集まるカンファレンスで、その規模と雰囲気に圧倒された。NASAや誰もが知る大企業までその基盤を使っていることに衝撃を受け、クラウドが今後の主流になると確信し、クラウドについてもっと知りたいと思うようになった」と岩尾氏は当時を振り返った。
その後、Googleのソフトウェアエンジニアを目指すものの、4回採用されず、面接の回数が増える一方だったという。しかし、数年後プリセールスの経験が買われ、広告のCustomer Solutions Engineerとして採用された。
とはいえ、クラウドへの興味は尽きず、社内のクラウドチームの知り合いを通じて、Cloud DevRelのディレクターを紹介してもらい、クラウドやDevRelに興味があることを強調し、合うポジションができたら知らせてもらえるよう依頼したという。
岩尾氏は、キャリアチェンジにおいて、イベントが大きなきっかけになったと語る。さまざまなイベントでChromeなどWeb技術に感動し、ラスベガスでのイベントでクラウド技術に感動したことが大きな動因となった。また、過去の会社で体験したパワハラ・セクハラ含め、環境が合わないと感じたときや、以前から行きたかったチームに空きができたときなどにも素早く動いたこともよかったという。
岩尾氏は、「3年で3回転職した時は、さすがに次は誘ってくれるところがないのではないかと思った。しかし、転職の理由を前向きに説明できるのであれば、理解してくれる人はいるはず。募集要項を見ると気おされることも多いが、部分的にでもやりたい仕事や足りているスキルがあれば相談してみるといいのでは」と語る。
そうした経緯を振り返り、岩尾氏は「寄り道ばかり」と笑う。そもそも自分がプログラミングを得意だと思っておらず、ソフトウェアエンジニアとして食べていくことを考えたこともなく、大学卒業後5年で4回も転職するつもりもなかった。紆余曲折しながら、自分がやりたい方向に少しずつ軌道修正した結果、現職にたどり着いた今、「好きなことに毎日取り組めるのは本当に楽しい」と述べ、「1回で正解にたどり着かなくても、何度も修正し”やりたいこと”に近づけばいい」と語った。