「信頼貯金」を担保にリスクを取り、ハイリターンを得る
入社からわずか3年でVPoEに就いた常松氏は、どのようなマインドを持っているのか。
常松氏は、Rettyで働いている時は「マネージャー」としての「帽子」を被っているという。「自分が偉くなりたいとか、Rettyはこうあるべきだということを行動指針にすることはありません。Rettyのマネージャーという立場で正しいと思う振る舞いをしています」と話す。個人としてではなく、マネージャーという立場で会社の状況やプロダクトを見て、目指すべきビジョンに従って行動しているのだ。
マネジメント側になると、サービス開発に直接タッチしているわけではないので、現場のエンジニアの方が適切な判断ができる場合も出てくる。マネージャーはその前提を受け入れた上で、大きな方針を示さなければならない。そのためには、エンジニアと議論ができる程度の開発スキルや開発のトレンドをキャッチアップすることも必要だ。
また、常松氏は「信頼貯金を溜めるのが大事」と話す。何かを任され、チャレンジをさせてもらうためには、それまでにある程度の実績や信頼がなければならない。常松氏は「コップがあるとして、それに信頼を溜めていくようなイメージです。その人のコップが空っぽなうちは何かを任せようとはなりにくい。逆に、コップが信頼で満タンになっている人は、リスクを取ってでもきちんと行動や提言をした方がいい。何もしないでいるとただコップに水を溜めているだけになってしまうので」と語る。信用貯金が溜まったら、それを担保にしてリスクを取り、ハイリターンを得る。ハイリターンを得るとまた信頼貯金が溜まるという考えだ。
常松氏の場合は、まずtoCのWeb開発チームの仕組みを変えて成果を出したことで、Web開発全般を任せても大丈夫だという信頼を得た。そこで、Go To Eatキャンペーンの開発責任者となるリスクを取り、成功させるというリターンを得た。
リターンを得るためにはリスクを取る必要があるが、そのタイミングが大切だ。タイミングを見極めることも大事だが、それよりも重要なのは準備をしておくこと。常にアンテナを張り巡らせて準備をしておき、いざタイミングが来たら、用意していたものをサッと出す。常松氏は、「問題が分かってから調査をしたのでは遅い。空き時間にサービス改善の研究をするなど、何か課題を探す活動をするのも大事だと思います」と言う。
Rettyのビジョンは、「新たな『食体験』を創り上げ、人生をもっとHappyに。」だ。常松氏はそれを開発観点でサポートしていく。常松氏は最後に「Rettyのサービスを通して、ユーザーさんの人生が豊かになってほしいと思っています。それをエンジニアリング観点でつなぎ、サービスの量や質も上げていきたい。正しい方向に進んでいなければそれを食い止め、正しい方向に持っていきたい」と展望を語った。