AWSの現在を知る、独自開発のハードウェア展示や企画
AWSが自社開発する各種ハードウェアも展示されていた。どのような処理であろうとも、AWSサービスを使う時はどこかのデータセンターで、何らかのサーバーが稼働している。と、頭では理解できていても、その姿を目にすることはなかなかない。AWS Summit展示ブースでは実際に使われているハードウェアが多数陳列されていて、貴重なAWSの実体を目にすることができた。
例えばAmazon EC2インスタンスの裏側で稼働している独自開発のネットワークスイッチや、独自の仮想化基盤であるAWS Nitro Systemで利用されているカード、さらには独自開発のプロセッサやアクセラレータとしてAWS Graviton3、AWS Trainium、AWS Inferentiaのチップが展示されていた。
また、AWSのクラウドサービスを自社環境に延伸し、一部をオンプレミスで実行するためのAWS Outpostsファミリーについても、ラックやブレードサーバーが展示されていた。
Developer Loungeでは、身近なテーマで作成されたガジェットがいくつも展示されていた。例えば「きのこの山」と「たけのこの里」を画像からより分けるガジェットは、Amazon SageMakerで作成した機械学習モデルからなる推論コンポーネントをAWS IoT Greengrassに作成して、カメラからの画像で推論する仕組みとなっている。推論結果はAWS IoT Core経由でサーボを動かして分ける。機械学習モデルの学習は、「きのこの山」と「たけのこの里」の画像をそれぞれ200枚ほどで行った。
Developer Lounge内の「Community Kiosk」ではAWS関連コミュニティのシールがずらりと並んでいた。AWSには地域やテーマごとに多数のコミュニティがあり、エンジニア同士の助け合いや情報交換が盛んだ。どこかに所属すると世界が広がるだろう。
また、Developer Loungeでは好きなプログラミング言語アンケートが行われていた。多くの来場者が投票し、最終日の午後にはPythonが圧倒的な票を集めていた。
AWS DeepRacerリーグ「Summit Circuit」も開催されていた。実際のレースで走行させるのは1/18スケールの四駆自動車となるが、会場では巨大サイズの模型が目を引いていた。
イベント2日目の夕方には、社会人向けDeepRacerリーグは終盤に差し掛かっていた。かなりの接戦で、トップのタイムは7.516。すでにこの時点でDeepRacerリーグ世界記録が何度も塗り替えられていた。
この後にトップと同タイムが出る異例の事態となったため、サドンデス方式で優勝者を決めることになった。筆者がブレイクアウトセッションを聴講していると、背後から大歓声が聞こえてきた。恐らくDeepRacerリーグで優勝が決まった瞬間だったのだろう。こうした体験ができるのもリアル開催ならではである。
なおAWSやAWSパートナーではなく、AWSの顧客事例の展示ブースもあった。例えばリコーでは仕事現場で人間とAIのインターフェースとなるデジタルヒューマンが展示されていた。自社の業務データで学習させることで、自社業務に長けた対話AIを実現した。どのようなAWSサービスを組み合わせているのかをパネルなどで展示していた。