Web型ソリューション
前述のとおり、情報共有の選択肢の一つとしてWebブラウザをクライアントとした形態もFileMakerは提供できます。
Web型の中にもいくつか分類があり、FileMaker Proでデザインしたレイアウトをそのまま展開できる「インスタントWeb公開」(同時アクセス数によってはFileMaker Server 9 Advancedが必要)、デザインの自由度を上げて、他のWeb関連技術との組み合わせることも可能な「カスタムWeb公開」があります。またVer. 9より「カスタムWeb公開」の場合は、「XSLTによる公開」「PHPによる公開」と開発手法の選択肢も増えました。
なお、事前にこれらを動作させるために必要な動作環境を確認しておくとよいでしょう。
運用環境について----それぞれの役割を知る
続いて運用ですが、Web型であってもC/S型と同様の留意事項が基本です。以下に、Web公開ならではの注意点について触れます。
まずは、FileMaker ServerのWeb公開の動きについて確認しておきましょう。FileMaker ServerのWeb公開に関連して稼働しているプログラム、もしくはモジュールは、
- Webサーバー(Windows OS:IIS、Mac OS:Apache)
- Webサーバーモジュール or PHPエンジン
- Web公開エンジン(Custom Web Publishing Engine + Web Publishing Core)
- FileMaker Server
と、大きく4つに分けられます(2・3一式をワーカー、4をマスタと呼んでいます)。
- WSM
- CWPE
- WPC
- FMS
導入するソリューションの内容や規模にもよりますが、多くの場合、1・2・3で1台、4で1台の計2台のサーバー構成で運用することが推奨されています。というのも、FilaMaker Serverというデータベースを管理するエンジンと、そこから取得するデータをハンドリングして、Webサーバーとの受け渡しを担うエンジンを分けることにより、効率的にハードを活用することができるためです(1台での運用も可能ですが、それなりの負荷がかかるということを念頭に置いてください)。
また、上記のようにWeb公開に関わっているプログラムや技術が多岐に渡っているため、それぞれの機能の役割を把握したうえで、監視体制や障害時対策を立てる必要があります。
まとめ
今回はFileMaker運用環境の大まかな概要を述べるにとどまりましたが、また機会を改めて細かい部分に触れていきたいと思います。
さて次回より待望の「具体的な開発手法」にその場を移していくことになるのですが、その前にひとこと。
著者はたまにFileMakerでのソリューションを「料理」にたとえることがあります。今回の運用環境などは「食卓や食器」あるいは「様式」にあたるでしょうか。「食材」はシステムの仕様や発注者の思い、あるいは開発者のアイディアだと思います。
FileMaker Proは、これらを「調理」し、「料理」としてお客様に提供するための道具になるわけですが、この調理器具の特徴は、お客様が調理の途中で「味見」ができることです。それも味、香り、形、食感などがかなり具体的に。
そうすることで、さじ加減や「塩梅(あんばい)」を正確に把握し、お客様に満足していただける料理ができ上がっていきます。
これから登場する「料理人」は、この調理器具を、あるときはフライパンであったり、または中華鍋にしてみたり、ときには計量スプーンと化してみたりと、「臨機応変」な道具として活用することを実践されている方々です。
かつて某番組での号令となったこのひとことを借りて、バトンを渡したいと思います。
「Allez cuisine!(アーレ・キュイジーヌ)」(いざ、厨房へ)