楽しさ駆動型のキャリア選択で描く成長曲線
17歳のときには書籍「サーバサイドJavaScript Node.js入門」の共著者となり、その印税で新しいサーバーを買った。その後、筑波大学に自己推薦で入学したが、講義に出ずに好きなコードを書いていた。この頃、ウェブサービスを作るためにRDBMSを使うことが多かったが、データモデルやクエリ言語に不満があったため、自身で最強のDBMSを作って置き換えようと考えた。そして大学に興味を持てず退学し、21歳の時にクックパッドに就職した。
クックパッドでは、データ基盤チームでSQLやJavaを書きながら大規模なデータを扱う仕事を経験した。25歳のときにコロナ禍が訪れ、リモートワークを楽しめずクックパッドを退職した。しかし、DBMSに関する興味は続いていて、技術雑誌への寄稿やYouTuber活動をしたのち、アークエッジ・スペースから人工衛星開発の誘いを受けて現職に就いた。
ここまで経歴を発表したKOBA789氏は、20年以上プログラミングをしてきたが、自身が特定分野のスペシャリストになっていないことを明かした。さまざまな技術に手を出しては離れ、本や記事を書いても長続きしない。宇宙に興味がなかったのに、今は人工衛星開発をしている。
KOBA789氏は「要するに、楽しいことを次々とつまみ食いしているだけ」と話す。
計画的にキャリアを考える人がいる中、彼は未来予測をせず、楽観的に興味のあることに取り組む。この方法が成長速度を高めるのに適していると説明する。
興味のあることに没頭すると上達が早くなるが、同じ分野を続けると興味が薄れ成長が鈍化する。そこで新しい分野に移る。一見無駄に思えるが、以前のスキルは新領域でも役立つため「強くてニューゲーム(新しい分野でもすでに力をつけた状態で始められる)」の状態で始められる。今までの経験で得られた複数の領域のスキル・知識が相互作用し、新しい視点や解決策を生み出すことで、成長を加速するのだ。
「未来を予測しなくても、成長速度さえ手に入ればどんな未来も怖くないです。どんな未来が来てもすぐに適応できるから」(KOBA789氏)
大事なのは、楽しく取り組むことで、そうしないと真の成長は得られない。楽しいかどうかは分析をせず、体で実感を得る。例えば、徹夜してでも没頭できるならそれは楽しんでいるということだ。