APIの課題解決に効果的な「APIファースト」アプローチ
Postmanではこの3つのポイントを押さえるべく、APIを中心に据え、周辺の物事を考えていくという「APIファースト」のアプローチを推奨している。
「とにかく大事なのはAPIの設計をしっかり行うこと。それが固まれば、ドキュメントを生成し、サーバの実装、テストの生成などの開発作業を並列で行えるので、効率的な開発が実現します」(草薙氏)
APIファーストを実践するために重要になるのが、「情報の整備に加え、開発者同士がコミュニケーションを取りやすい体制を作ること」と草薙氏は語る。これを実現するためにPostmanでは、コレクションと呼ばれるドキュメント、APIの定義やテストコードなどが一体化したデータ構造を保存する場所(実行可能ドキュメント)を提供している。開発者はコレクションを中心に作業するので、すべての情報がコレクションに集まる。「情報も共有され、効率的な開発ができるようになります」(草薙氏)
またユーザーへのAPI公開も、Postmanを使えば容易にできるようになる。
「コレクションをキーワードやタグ付けしてカタログ化できるので、ユーザーは自分の欲しいコレクションを検索できます。また見つけたコレクションはドキュメントと実行が一体化されているので、ユーザーはすぐにAPIのコールを実行することができます」(草薙氏)
API提供者が重視する指標の一つである「Time To First Call(TTFC):最初にAPIを知ってからAPIコールをするまでにかかる時間」が短縮できるので、開発の効率が上がる、つまり開発者体験の向上につながる。PostmanはTTFCを削減するための強力なツールだと言えよう。
このほかにもPostmanには開発者の生産性を向上させる機能が提供されている。その一つがワークスペースやコレクションへのアクセス権限を管理しながら、組織の中で情報を共有して共同開発やコラボレーションできる仕組みである。次にテストを自動化する仕組みも提供している。「この機能を使うことで、テストをライフサイクルの中で継続的に回していくことができ、APIの信頼性を高めることができます」(川崎氏)

生成AIを活用し、ドキュメントやテストの作成を効率的に行う機能「Postbot」も提供している。
「PostbotはAPIの開発作業に特化したアシスタントAIです。APIの定義やサーバからのレスポンスのデータそのものを入力情報として、APIのドキュメントを生成します。テストコードも、自然言語で問いかけるだけで適切なものを生成してくれます」(草薙氏)
Postmanの日本法人はまだできたばかり。日本のユーザーにより多く活用してもらうためには、日本語化は欠かせない。「2023年からアプリの日本語UIを提供しています。設定でUI表示を日本語に変えられるのでぜひ、使ってほしい」と草薙氏。オンラインドキュメントについては「現在、鋭意進めています」と回答。日本語でよりわかりやすい情報が手に入る日も近そうだ。
「PostmanはAPIを使う開発者の課題を確実に解決できるツールです。APIの知見をより深めていただくためにも、学習コンテンツを増やしていきたいと考えています。世界ではAPIで成功している企業が数多くあります。日本からもそういう企業が出てくれば嬉しい。私たちも、Postmanを通じて企業によるAPIの活用を支援していきたいです」(川崎氏)
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