SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

CodeZine Press(AD)

生成AI時代のモダンなアプリケーション開発を加速するAPI活用のポイント

生成AIが導くプロダクト開発の未来 Part2

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

課題の多いAPIの設計・運用、うまく活用するためのポイントとは

 このようにさまざまなビジネス上の効果を生み出すことのできるAPIだが、その設計・運用に関して、課題を抱えている開発者も多い。

 Postmanでは毎年、定量的に世の中の声を拾うべく大規模なユーザーサーベイを行っている。そのレポートが「State of the API Report」だ。

 同サーベイでAPIの利用障壁として最も課題として挙げられているのは、ドキュメントに関するものだ。「API仕様書が分かりにくい、読みづらい、書き方がバラバラで一貫性がない。さらにドキュメントがないこともある」と川崎氏は指摘する。これでは開発者体験の低下を促し、インテグレーションコストにも大きな影響を与えてしまう。

 2番目に課題として挙げられるのが、APIがどこにあるか分からないという問題だ。「ある部署が○○というAPIを作ったが、他部署にまでその存在が知られておらず、同じような機能を持つAPIを作ってしまった、といったことが起きがちです。日本の会社の組織はサイロ化していることが多く、よくある課題ですが、会社全体で見ると大きなロスです」(川崎氏)

 その他にも、APIで外部からの呼び出しを受け付けることによるセキュリティ面のリスクなど、さまざまな課題があるという。

 現在のアプリケーションに求められる要件に対応していくには、これらのAPIの課題を解決し、ユーザーにとって分かりやすくするのはもちろん、AIとの連携もしやすいAPIの設計・運用がカギを握る。そのコツはあるのか。

 草薙氏は「人間に対してもAIに対してもフレンドリーなAPIを設計・運用するコツは大きく変わらない」と前置きし、次の3つのポイントを示した。

 第1のポイントはAPIの利用に際して必要十分な情報とその機能が明確に記述されたドキュメントを用意すること。

 ユーザーだけでなくAIに対してもドキュメントが必要なのかと思うかもしれない。確かに生成AI以前のプログラムからの利用であれば機械用記述やカタログなど、機械用に最適化されたものを用意する必要があった。だが最近の生成AI、例えばOpenAI APIのFunction callingは、外部システムとの連携がミスなくできるようになる仕組みであるが、機能仕様(JSONデータ)の中の自然言語による説明を元に連携が適切かどうかを選択する。「インプットを自然言語で行うという人間に近い形となっているので、ドキュメントは重要です」(草薙氏)

 2点目のポイントは、標準的なやり方に沿った設計を理解すること。「OpenAPIと呼ばれるAPIの世界の標準仕様に沿った形でAPIの定義と説明を記述すれば、ツールも揃っているのですぐ開発に取りかかれますし、バージョンが上がっても容易に管理することができます」(草薙氏)

 3点目のポイントは、APIに関する情報を一か所にまとめること。APIはバージョンアップなどにより仕様変更が多く発生する。APIを活用する際の課題として「いま参照している情報は信頼できるものか」といった迷いが生じてしまうこともあげられる。APIを提供する側としても、せっかく作ったAPIをユーザーが存在を知らなければ使ってくれない。「ここに行けばメンテナンスされた最新の情報が詰まっている、というデータベース的なものを用意することが重要です」(草薙氏)

次のページ
APIの課題解決に効果的な「APIファースト」アプローチ

関連リンク

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:Postman株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/19973 2024/11/19 14:56

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング