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生成AI時代のモダンなアプリケーション開発を加速するAPI活用のポイント

生成AIが導くプロダクト開発の未来 Part2

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 生成AIを活用して、自社サービスの機能を拡充したいというニーズが増えている。そのような機能開発において、生成AIとアプリケーションとの連携で欠かせないのがAPIだ。マイクロサービス化による分散アーキテクチャの普及も相まって、APIの重要性はさらに増している。そうしたAPIの設計・運用にはどんな課題があり、どんな解決方法があるのか。Postmanのテクノロジーエバンジェリストが最新機能とともに紹介する。

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生成AIの登場で、アプリケーションはどう変化したのか

 2022年11月のChatGPTの登場により、今や多くの企業が生成AIのビジネス活用に取り組んでいる。そんな生成AI時代において重要になるのが、アプリケーションやサービスを連携するためのテクノロジーであるAPIだ。

 ITシステムの開発に欠かせないAPIを、開発者が容易に設計・構築・テスト、コラボレーションするためのプラットフォームを提供しているのがPostmanである。2023年4月に日本法人を設立し、日本でAPIファーストのソフトウェア開発の普及に邁進している。その役割を担っているのが、Postman テクノロジーエバンジェリストの草薙昭彦氏と川崎庸市氏だ。

 草薙氏は2023年5月からエバンジェリストとしてPostmanというプロダクトのみならず、API自体の認知拡大や、技術面はもちろん業務や企業活動の面から見たAPI活用のメリットなどを広めるべく、啓蒙活動を行っている。

Postman株式会社 テクノロジーエバンジェリスト 草薙昭彦氏
Postman株式会社 テクノロジーエバンジェリスト 草薙昭彦氏

 川崎氏も草薙氏と同様に、オンライン・オフラインでの勉強会を開催したり、技術イベントでスピーカーとして登壇したりしている。「利用者の導入支援の手伝いをすることもある」と川崎氏は語る。

Postman株式会社 テクノロジーエバンジェリスト 川崎庸市氏
Postman株式会社 テクノロジーエバンジェリスト 川崎庸市氏

 モバイル、マイクロサービス、クラウド技術の発展による分散アーキテクチャの普及、さらには生成AIが登場・普及した昨今、アプリケーションのあり方や作り方は変化しつつある。どのように変化しているのか。

 第1の変化は、ユーザーに合わせたアプリケーションのパーソナライズだ。「アプリケーションが静的なものからより動的なものへと変化し、ユーザーの属性や利用特性に応じたパーソナライズが進んでいます」と川崎氏は紹介する。

 第2の変化は、分散アーキテクチャが加速していること。川崎氏によると、分散アーキテクチャの中でもネットワークの境界を越えたやり取りがより加速しているのだという。分散アーキテクチャの加速により、サービス間の通信も増加する。そのため高いセキュリティ要件が求められる傾向にあるという。

 第3の変化は、情報アクセスのインタフェースに生成AIが活用されることで、APIの重要性がさらに高まることだ。

 PostmanのCEO、アビナフ・アシュタナ氏の「APIs are the hands and legs that power the “thinking” that the AI is doing.(AIの時代には、あらゆるものがAPIになります。APIこそが、AIが行う「思考」を機能させる手であり足なのです)」という言葉が示しているように、昨今、APIを通じてやり取りされる情報の基点に、生成AIが使われるケースが増えてきている。

 その代表例として川崎氏が紹介したのが「検索」。かつての行動パターンは、検索エンジンを基点に情報の探求を行うのが一般的だった。だがChatGPTに代表されるように、今では自然言語ベースのインタフェースを通じたやり取りへと変わってきている。「この自然言語のやり取りの裏側にあるプロンプトが、AIに次に何をするか判断させる。例えばお天気情報であれば、お天気APIを通じて外部のお天気サービスにアクセスして情報を取得する。これは一つの例ですが、そういう自然言語を通じたやり取りが増えてくると、よりAPIの重要性は増すと考えられます」(川崎氏)

APIを活用し、新たな価値の提供を可能にした企業が登場

 APIを活用してアプリケーションを進化させている企業も登場している。先述したように、近年、サービスのパーソナライズが加速している。この顧客ごとのカスタマイズに「APIは非常に重要な役割を果たしている」と草薙氏は語る。

 草薙氏が紹介したのが、ある自動車メーカーが提供するアプリソリューションだ。同アプリは車のキーの開閉など、カーライフをより快適にする機能を提供しており、その中には保険を購入する機能もあるという。

 「このアプリで面白いのは、運転履歴を元にした運転特性をベースに保険料率の最適化を行っていることです。例えば急加速や急ハンドルを切らないなど、安全な運転をする傾向のあるユーザーは保険料が安くなるのです。APIを通じて運転データをAPIで送信し、そのデータが保険料率に反映されます。これにより保険の販売チャネルという新しいビジネスを生み出すことができました」(草薙氏)

 さらに草薙氏は配送事業者によるAPIの活用事例も紹介した。APIを通じて配送のリアルタイム追跡機能、自社の配達員向けにはルートの最適化情報を提供したりするなど、効率的な物流管理を実現している。再配送の回数を減らしたり、配送にかかる燃料費や人件費の最小化に貢献したりするのはもちろん、すでに決まった配送のルート上に、さらに新たな配送先を追加するなども実現できる。

 このようにAPIをうまく活用すれば、新たなビジネス創出や業務のDXを実現、顧客満足度の向上も期待できるというわけだ。

課題の多いAPIの設計・運用、うまく活用するためのポイントとは

 このようにさまざまなビジネス上の効果を生み出すことのできるAPIだが、その設計・運用に関して、課題を抱えている開発者も多い。

 Postmanでは毎年、定量的に世の中の声を拾うべく大規模なユーザーサーベイを行っている。そのレポートが「State of the API Report」だ。

 同サーベイでAPIの利用障壁として最も課題として挙げられているのは、ドキュメントに関するものだ。「API仕様書が分かりにくい、読みづらい、書き方がバラバラで一貫性がない。さらにドキュメントがないこともある」と川崎氏は指摘する。これでは開発者体験の低下を促し、インテグレーションコストにも大きな影響を与えてしまう。

 2番目に課題として挙げられるのが、APIがどこにあるか分からないという問題だ。「ある部署が○○というAPIを作ったが、他部署にまでその存在が知られておらず、同じような機能を持つAPIを作ってしまった、といったことが起きがちです。日本の会社の組織はサイロ化していることが多く、よくある課題ですが、会社全体で見ると大きなロスです」(川崎氏)

 その他にも、APIで外部からの呼び出しを受け付けることによるセキュリティ面のリスクなど、さまざまな課題があるという。

 現在のアプリケーションに求められる要件に対応していくには、これらのAPIの課題を解決し、ユーザーにとって分かりやすくするのはもちろん、AIとの連携もしやすいAPIの設計・運用がカギを握る。そのコツはあるのか。

 草薙氏は「人間に対してもAIに対してもフレンドリーなAPIを設計・運用するコツは大きく変わらない」と前置きし、次の3つのポイントを示した。

 第1のポイントはAPIの利用に際して必要十分な情報とその機能が明確に記述されたドキュメントを用意すること。

 ユーザーだけでなくAIに対してもドキュメントが必要なのかと思うかもしれない。確かに生成AI以前のプログラムからの利用であれば機械用記述やカタログなど、機械用に最適化されたものを用意する必要があった。だが最近の生成AI、例えばOpenAI APIのFunction callingは、外部システムとの連携がミスなくできるようになる仕組みであるが、機能仕様(JSONデータ)の中の自然言語による説明を元に連携が適切かどうかを選択する。「インプットを自然言語で行うという人間に近い形となっているので、ドキュメントは重要です」(草薙氏)

 2点目のポイントは、標準的なやり方に沿った設計を理解すること。「OpenAPIと呼ばれるAPIの世界の標準仕様に沿った形でAPIの定義と説明を記述すれば、ツールも揃っているのですぐ開発に取りかかれますし、バージョンが上がっても容易に管理することができます」(草薙氏)

 3点目のポイントは、APIに関する情報を一か所にまとめること。APIはバージョンアップなどにより仕様変更が多く発生する。APIを活用する際の課題として「いま参照している情報は信頼できるものか」といった迷いが生じてしまうこともあげられる。APIを提供する側としても、せっかく作ったAPIをユーザーが存在を知らなければ使ってくれない。「ここに行けばメンテナンスされた最新の情報が詰まっている、というデータベース的なものを用意することが重要です」(草薙氏)

APIの課題解決に効果的な「APIファースト」アプローチ

 Postmanではこの3つのポイントを押さえるべく、APIを中心に据え、周辺の物事を考えていくという「APIファースト」のアプローチを推奨している。

 「とにかく大事なのはAPIの設計をしっかり行うこと。それが固まれば、ドキュメントを生成し、サーバの実装、テストの生成などの開発作業を並列で行えるので、効率的な開発が実現します」(草薙氏)

 APIファーストを実践するために重要になるのが、「情報の整備に加え、開発者同士がコミュニケーションを取りやすい体制を作ること」と草薙氏は語る。これを実現するためにPostmanでは、コレクションと呼ばれるドキュメント、APIの定義やテストコードなどが一体化したデータ構造を保存する場所(実行可能ドキュメント)を提供している。開発者はコレクションを中心に作業するので、すべての情報がコレクションに集まる。「情報も共有され、効率的な開発ができるようになります」(草薙氏)

 またユーザーへのAPI公開も、Postmanを使えば容易にできるようになる。

 「コレクションをキーワードやタグ付けしてカタログ化できるので、ユーザーは自分の欲しいコレクションを検索できます。また見つけたコレクションはドキュメントと実行が一体化されているので、ユーザーはすぐにAPIのコールを実行することができます」(草薙氏)

 API提供者が重視する指標の一つである「Time To First Call(TTFC):最初にAPIを知ってからAPIコールをするまでにかかる時間」が短縮できるので、開発の効率が上がる、つまり開発者体験の向上につながる。PostmanはTTFCを削減するための強力なツールだと言えよう。

 このほかにもPostmanには開発者の生産性を向上させる機能が提供されている。その一つがワークスペースやコレクションへのアクセス権限を管理しながら、組織の中で情報を共有して共同開発やコラボレーションできる仕組みである。次にテストを自動化する仕組みも提供している。「この機能を使うことで、テストをライフサイクルの中で継続的に回していくことができ、APIの信頼性を高めることができます」(川崎氏)

 生成AIを活用し、ドキュメントやテストの作成を効率的に行う機能「Postbot」も提供している。

 「PostbotはAPIの開発作業に特化したアシスタントAIです。APIの定義やサーバからのレスポンスのデータそのものを入力情報として、APIのドキュメントを生成します。テストコードも、自然言語で問いかけるだけで適切なものを生成してくれます」(草薙氏)

 Postmanの日本法人はまだできたばかり。日本のユーザーにより多く活用してもらうためには、日本語化は欠かせない。「2023年からアプリの日本語UIを提供しています。設定でUI表示を日本語に変えられるのでぜひ、使ってほしい」と草薙氏。オンラインドキュメントについては「現在、鋭意進めています」と回答。日本語でよりわかりやすい情報が手に入る日も近そうだ。

 「PostmanはAPIを使う開発者の課題を確実に解決できるツールです。APIの知見をより深めていただくためにも、学習コンテンツを増やしていきたいと考えています。世界ではAPIで成功している企業が数多くあります。日本からもそういう企業が出てくれば嬉しい。私たちも、Postmanを通じて企業によるAPIの活用を支援していきたいです」(川崎氏)

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 Postmanでは、Postmanの情報、およびAPIにまつわる様々なトピックについての知見を得られるミートアップ、またAPIの基礎からPostmanの様々な機能、利用方法を学んでいただける無料オンラインワークショップを開催しています。ご興味のある方はPostmanイベントページからご登録ください。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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