「目標の数字はクリア」でも無理してない? 健全なチームの作り方
DevExの事例として、浜田氏が所属する「Findy Team+」開発チームの2024年8月におけるDevExの測定結果が示された。スコアは高い順に3色で色分けされ、緑が最も良く、次いで黄色、赤が最も注意が必要な状態を表している。測定結果について、浜田氏は「全体としては赤が1つ、あとは黄色と緑なので、比較的良い状態ではないかと思われます」とコメントした。
Perceptionsに注目すると、全体的に良好で赤の項目はなかった。ただし、認知負荷に関しては黄色となっており、コードベースの複雑さについてリファクタリングなどの対応が必要と考えられる。また、本番監視やドキュメント、オンコール体制など一部の項目で改善の余地があることもわかった。
次に、Workflowsでは、赤が1つあり、黄色が多数あった。赤となったのはCIの平均実行時間で、黄色になっているレビュー依頼から完了までのターンアラウンドタイムやプルリクエスト数なども開発速度に直結する重要な指標だ。実は、これらは基準を高めに設定しており、あえて黄色や赤になりやすくしている。これにより、課題に早期に気づきやすくなり、改善のサイクルを回すきっかけを増やすためだ。なお、KPIの測定結果は全て緑となっており、開発チームの良好な状態が確認できた。
次は緑、黄色、赤の結果をスコア化し、3つの要素がそれぞれ100点となるよう計算しなおした。その結果、フィードバックループが83、認知負荷が72、フロー状態が83というスコアになった。KPIは、未達の場合は全体のスコアを押し下げると考え、緑は1倍、黄色は0.9倍、赤は0.8倍と少しずつスコアを減算する設定にした。これら数値を、3要素を頂点としたチャートで示すと、開発チームのどこが特長でどこが課題かがよくわかる。
今回の測定結果について浜田氏は、「定性データが含まれていることで、定量データだけでは見落とされがちなアイデアや、数値的には問題がないように見えても潜在的な問題を検知できた点が良かったと思います。また、色分けしたことで、一目瞭然でどこを改善していけばいいかがわかるので、ビジュアライズしていくのは大事です」と振り返った。
ツールから自動取得する定量データでは非常に良い値が出るかもしれないが、それはメンバーがたびたび残業するなど、健全とは言えない場合も考えられる。サーベイによる定性データからは「疲れている」「無理をしている」といった状況も浮き彫りになる。
浜田氏は今後も評価基準や方法を見直し、より手軽にデータを取得する方法を確立していく方針を示し、最後に「各チームの健康状態をひと目で確認できる仕組みを目指しています。これは、マネージャーや上司が全チームのDevExをまとめて把握できる状態を想定しており、特に複数のチームを管理するマネージャーにとっては非常に有用なものになるのではと考えています」とコメントした。