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.NET nanoFrameworkとESP32でIoTプログラミング

Bluetoothで気温などの環境データをモニタリング! .NET nanoFrameworkとESP32でIoTプログラミング

.NET nanoFrameworkとESP32でIoTプログラミング 第6回

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 .NET nanoFrameworkは、組み込みデバイス向けの.NET実装です。.NET nanoFrameworkを用いれば、ハードウェア的な制約のあるマイコンボードでも、C#でのプログラミングが可能になります。この連載では、.NET nanoFrameworkと、ESP32マイコンモジュール(ESP32-WROVERなど)を使い、C#によるIoTプログラミングを解説します。

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対象読者

 IoTに興味があり、C#と電子工作の基本的な知識がある方を対象とします。C#や電子工作のごく初歩的な説明は割愛していますので、「C#ではじめるラズパイIoTプログラミング」の記事なども併せて参照してください。

はじめに

 今回の記事から、BluetoothやWi-Fiを利用して環境データをモニタリングするプログラムを作成します。本記事では環境センサーであるBME680で計測した値を、Bluetooth Low Energyを使って送信するところまでを解説します。

BluetoothやWi-Fiを利用した環境データモニタリング
BluetoothやWi-Fiを利用した環境データモニタリング

環境センサーBME680

 まずは、環境センサーのBME680を使います。BME680はBOSCH社が開発した環境センサーで、温度、(相対)湿度、気圧に加えて、アルコールなどのガスを測定できることが特徴です。

 BME680のガスセンサーは、金属酸化物半導体(MOS)を利用しています。センサーの金属酸化物半導体に特定のガスが接触すると、半導体の抵抗値が変化します。この抵抗の変化を測定することで、ガスの存在や濃度を検知します。こういったガスセンサーは、空気清浄機やエアコン、アルコールチェッカーなどで用いられています。

 BME680を搭載したセンサーモジュールは、Amazonなどで入手可能です。今回は、秋月電子通商で販売されている「BME680使用 温湿度・気圧・ガスセンサーモジュールキット」を利用しました。

BME680使用 温湿度・気圧・ガスセンサーモジュールキット
BME680使用 温湿度・気圧・ガスセンサーモジュールキット

 このセンサーモジュールには、三端子レギュレーターが組み込まれており、電源として2.5~6Vの範囲で利用できます。そのため、ESP32の電源に直接接続して利用可能です。

 モジュールの端子は4つだけです。電源以外は、I2C用のSCL、SDAとなっています。モジュールの出荷設定時のI2Cアドレスは、0x77です。今回は設定変更せず、そのまま利用します。アドレス変更などの詳細は、販売ページで公開されているマニュアルを参照してください。

配線とソース

 ESP32は、I2C接続でも任意のGPIO端子で利用可能です。前回同様、GPIO18、19を利用します。GPIO18とセンサーモジュールのSDA、GPIO19にはSCLを接続します。

 また.NET nanoFrameworkには、BME680に対応したクラスが用意されていますので、前回の距離計センサーの制御と同じようなコードで測定できます。

 最初にNuGetパッケージマネージャで、次のパッケージをインストールしておきます。

  • nanoFramework.Hardware.Esp32
  • nanoFramework.Iot.Device.Bmxx80

 センサーの値を取得して、1秒ごとにデバッグ表示するコードは、次のようになります。

[リスト1]Program.csの一部
public static void Main()
{
    // I2C接続に用いるGPIOの設定(1)
    Configuration.SetPinFunction(18, DeviceFunction.I2C1_DATA);
    Configuration.SetPinFunction(19, DeviceFunction.I2C1_CLOCK);

    // I2C通信のアドレス設定(2)
    var connectionSettings =
        new I2cConnectionSettings(1, 0x77);

    // I2C通信オブジェクトの生成(3)
    using var i2c = I2cDevice.Create(connectionSettings);

    // BME680オブジェクトの生成(4)
    var bme680 = new Bme680(i2c);

    // デフォルトの設定にリセット(5)
    bme680.Reset();

    while (true)
    {
        // 即時測定(6)
        var value = bme680.Read();

        // 有効値のときのみ(7)
        if (0<value.GasResistance.Value)
        {
            Console.WriteLine($"ガス: {value.GasResistance.Kiloohms:F2}KΩ");
        }
        Console.WriteLine($"気温: {value.Temperature.DegreesCelsius:F1}℃");
        Console.WriteLine($"気圧: {value.Pressure.Hectopascals:F1}hPa");
        Console.WriteLine($"湿度: {value.Humidity.Percent:F1}%");
        Console.WriteLine("");

        Thread.Sleep(1000);
    }
}

 I2C接続の設定手順は、前回同様です。I2C接続に用いるGPIOの設定後(1)、設定オブジェクトを生成して(2)、通信オブジェクトを生成します(3)。

 Bme680クラスのコンストラクタで、通信オブジェクトを指定して初期化します(4)。次に設定をいったんリセットして(5)、測定します(6)。すると1秒ごとに、次のように表示されます。

ガス: 303.22KΩ
気温: 30.1℃
気圧: 1014.5hPa
湿度: 41.0%

 なお、ガスの抵抗値は、正常に測定できない場合があるので(値が0)、その場合は、表示しないようにしています(7)。

 観測値の精度ですが、気温は手持ちの気温計と比べると1~2℃高めの値になるようです。湿度はやや低めの値になりました。(海面)気圧は、気象庁のアメダスと近しい値になっていました。

 ガス(抵抗)の値は、起動後しばらくは変動が激しく、10分ほど経ったところで部屋の中では300~400KΩ台の値になりました。消毒用アルコールやお酒、飲酒後の息などを吹きかけてみたところ、すぐに抵抗値が下がり100K以下になったので、簡易なアルコールチェッカーとして使えるかもしれません。

次のページ
Bluetooth Low Energy通信(1)

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 高江 賢(タカエ ケン)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

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