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開発現場インタビュー(AD)

StorybookとAIエージェントの活用で技術負債を解消、次世代のSNSマーケティングを支えるエンジニアの裏側に迫る!

モダン技術で技術負債に立ち向かう舞台裏と、その後の運用に見られた変化とは?

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AIコーディングエージェントが支えた大規模移行

 既存コードの移行という最も困難な作業では、AIコーディングエージェントのDevinを積極的に活用した。長坂氏は「完全にすべてを新しくしたわけではなく、一部は既存のものを残した状態だったため、それらが正しく移行できているかを検証する作業が非常に大変だった」と振り返る。

 この課題において、Devinは大きな力を発揮した。「既存のコードを同じように書き換える作業には非常に強いと感じた」と長坂氏は評価する。たとえば、別のフレームワークの類似機能を置き換えたり、既存コンポーネントを新しい設計に沿って変換したりする際には、AIに処理を任せることで大幅な時間短縮が可能となった。

 プロジェクトが始まった2025年3月当時は、ちょうどDevinの導入時期とも重なっていた。どの程度のタスクを任せられるのかは未知数であり、プロジェクトと並行して、どのような作業がAIに適しているのか、開発コストはどうかなどの検証も行い、傾向をつかんだ。

 toridoriの開発部では2025年8月よりAI活用補助制度[※]を正式に導入し、これまでに開発業務の約半分をAIが補完することに成功しており、社内でもAgenticCodingに関する勉強会も開催しているという。長坂氏の業務スタイルも大きく変わり、「今回のプロジェクトでも作業の5割以上は削減できたと感じています。ここ半年ほどは、ゼロからコードを書く機会はほとんどなくなりました。また、現在はDevinだけではなく、Cursor/ClaudeCodeなとも活用しています」と語る。

[※] AI活用補助制度:toridoriのプロダクト開発に携わる従業員のスキルアップと業務の生産性向上を目的とした制度。従業員が希望するAIツールの導入費用を月額最大200米ドルまで補助している。

 AIコーディングエージェントの強みについて長坂氏は「調査を妥協せず、不整合のチェックに非常に優れています。人間では見落としがちな部分を、かなりの精度で拾ってくれる」と分析する。また、新しいライブラリやフレームワークを導入する際には、それが解決すべき課題さえ把握していれば、「この問題をこのツールでどう解決すればよいか」とAIに相談することで、最適な解決策とともに具体的なコードを提示する。長坂氏は「そこから使い方を学べる点も、大きな利点です」と述べた。

KPI達成に寄与したAI活用。さらなる向上を目指す

 プロジェクトの成果は数値で明確に表れた。最も重要なKPIだった案件作成から公開までの時間について、長坂氏は「審査時間を約50%短縮できました」と報告する。作成してから大体1週間弱ほど顧客を待たせていた状態が非常に問題だったが、大幅に改善された。「目標としては2日以内、できれば1日程度で公開や修正が必要というレスポンスが返せるようにしたいです」と長坂氏は話した。

 その他の指標でも顕著な成果が現れた。改善後は期間あたりの案件作成数が25%程度アップし、サブスクリプションチケットが放置されて使われないという課題についても5%ほど解消した。

 開発チームの生産性向上も著しい。リリース後の文言修正や選択肢の変更といった要望に対する修正・確認が非常に早くできるようになった。長坂氏は「今回の案件機能の改修は、社内に大きなメリットがあったので、他の機能で同様に使えるのではないかと考えています。新しい機能の作成や検証が必要だから作っておこうという形、動いてもらえるようになったのが大きな進歩です」と語る。

 toridoriのエンジニアチームの特徴は、技術的な実装だけでなくビジネス指標への強いコミットメントにある。機能がリリースされた後に、実際にどのような変化があるかをダッシュボードで確認し、週次ミーティングで案件作成率を見守り、議論をしてきたと長坂氏は説明する。

 興味深い発見もあった。リリース後しばらくは審査時間が削減される傾向にあったのだが、その後審査時間が長くなる段階があった。長坂氏は「調べた結果、以前からの案件作成者は審査時間がほとんどいらなくなってどんどん短くなっていく一方、新規の案件が増えた影響で審査時間が延びているという原因が分かりました。システム自体には問題はないけれど、新たに作成する場合に課題があるという認識ができ、現在改善を進めています」と分析する。

 現在、長坂氏が注力しているのは品質保証の自動化だ。「案件のパターンを全部合わせると数千から数万のパターンになってしまいますが、その主要パターンを自動的にチェックして正しい表示・状態になっているかを検証する自動テストを導入したいと考えています」と構想を語る。

 AIとの協働についても更なる効率化を目指している。「いろんな組み合わせを処理したり、自動的にケースを書いたりという部分では、AIがさらに役に立つと思っています。ただし現状のAI活用では挙動確認・レビューが課題です。より人間がチェックしないといけないことを明確化し、人間がチェックしなくても目的に沿ったものが作れる仕組みを改善できないか試行錯誤しているところです」と長坂氏は今後の展望を語った。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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井山 敬博(イヤマ タカヒロ)

 STUDIO RONDINOのカメラマン。 東京綜合写真専門学校を卒業後、photographer 西尾豊司氏に師事。2008年に独立し、フリーを経て2012年からSTUDIO RONDINOに参加。 STUDIO RONDINO Works

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