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Developers Summit 2025 KANSAI セッションレポート(AD)

「PoCで終わるプロダクト開発」からの脱却──ダイキン工業が3つの課題を解決して進めたアジャイル内製化

【A-9】つくる力をうちから、ダイキンのアジャイル内製改革

開発生産性スコアが、内製改革を進める根拠の1つに

 「これら3つの課題について、開発生産性という観点で捉えることもできるのか」と渡邉氏が問いかけると、森鳰氏は1つ目の課題である、サービス拡大に伴う認知負荷の増大については、指標から問題に気づく、または改善の検査は可能だと話す。「良くない状況に陥っていないか、Negative Indicatorとしての検査、または相対的な変化、相互関係による検査を実施しています」(森鳰氏)

 実際、森鳰氏たちがチームの再構成をするまでは、稼働人数とリードタイムの相関性が高く、人数を増やしてもうまくいかない状況がわかった。そこでチームを再構成したところ一気に変化。一時は変更のリードタイムが伸びたこともあったが、今は落ち着いており、「大きな問題を抑えながら組織の拡大ができるようになった」と森鳰氏は語る。

サービス拡大に伴う認知負荷は指標から問題に気づける
サービス拡大に伴う認知負荷は指標から問題に気づける

 2つ目のチームの自律性と開発組織化という課題に対しては、数値計測で確認できなくてもマネジメントすべきだと話す。何とかすべきと感じたのなら、実際に行動に移してしまってもいいと考えている。

 3つ目のステークホルダーとの関わりという課題については、アウトプットを追っていくと逆効果になる可能性があると指摘。アウトプットを見ていても事業部との関わりの課題は見つからないし、直近のアウトプットを上げるために課題解決や探索に時間が使えなくなる可能性があるからだ。「改善に時間を充てると、一時的にアウトプットは落ちるかもしれません。ですがそれによってアウトプットが下がるのは当たり前なので、どのくらい下がったか計測して覚えておきましょう。そうすれば将来、改善する際、いつどのくらい時間を充てればいいか判断できると思います」(森鳰氏)

 これまでダイキン工業では、事前に要件を定義して外部に開発を委託する傾向にあった。だがこれからは状況の変化に合わせて継続的に内製改革をしていくと話す。その根拠の1つとなるのが開発生産性スコアである。「継続的な開発の必要性を事実として示すことは、経営層への説明に効果的ではないかと考えています」(森鳰氏)

 また内製開発を進めるには、社外の人たちと取り組み内容を共有していくことも大事だと言う。森鳰氏がカンファレンス経由で知り合った企業を中心に交流会を実施したところ、講演では聴けない込み入った話を聞けるなど、知見が得られたからだ。「もっとこの場を拡大させたい」と考えた森鳰氏は企業の枠を超えた内製開発コミュニティを発足。Discordサーバーで議論の場を提供するほか、企業間交流会の促進もしている。「ぜひ、興味のある方は参加してほしい」と最後に呼びかけ、セッションを締め括った。

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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タナカタイゾー(タナカ タイゾー)

 フリーカメラマン。日本写真映像専門学校卒業後、写真スタジオを経て独立。関西を拠点に広告、カタログ、雑誌の分野で活動。最近は子どもも成長し、休日は愛犬と一緒に1人と一匹でキャンプを楽しむ。

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