SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Developers Summit 2026 セッションレポート(AD)

AI時代の複雑なシステムをブラックボックス化させないために ──ソフトバンクが実践するNew Relicを活用したモダンスタックのオブザーバビリティ

【20-C-5】New Relicを「さっと」入れたら、生成AI開発チームの「心に余白」が∞になった件 ~あれ?俺たち、もしかして最強のBizDevOps集団だったりする?~

ソフトバンクの開発チーム直面した「属人化の壁」

 New Relicを導入したのは、新しい生成AIチャットサービス「satto workspace」の開発チームである。これは資料作成業務などに特化したサービスで、AIと人間が協調することでスライド作成といった業務を効率化できる。

ソフトバンクが開発を行った生成AIチャットサービス「satto workspace」
ソフトバンクが開発を行った生成AIチャットサービス「satto workspace」

 satto workspaceの開発には、モダンなフレームワークを採用しており、開発者体験を最優先した技術選定が行われている。GitHubを基盤に、さまざまなAIツールを活用して開発生産性の向上や自動化を図っているのが特徴だ。

 同開発チームがNew Relicを導入したきっかけは、伊藤氏が指摘した「障害対応の属人化」という課題に直面していたからである。

ソフトバンク株式会社 IT統括 iPaaS事業開発本部 プロダクト開発課 技術責任者 田口 悠希氏
ソフトバンク株式会社 IT統括 iPaaS事業開発本部 プロダクト開発課 技術責任者 田口 悠希氏

 パイロット検証の段階で障害通知が届くようになったが、その都度、原因の特定と対応に追われることとなった。しかし、ソフトバンクの厳格なセキュリティポリシーにより、AWSコンソールのログを閲覧できるのは、CTOの田口氏に限られていた。

 結果として、すべての障害対応が田口氏に集中し、負担が増大した。他の開発メンバーはAWSの本番環境の状況が一切把握できず、システムがブラックボックス化していたのである。satto workspaceの正式リリースに向けてこの課題を解消するべく、オブザーバビリティツールの導入を決定した。

障害対応が集中し、負荷が増大した
障害対応が集中し、負荷が増大した

 田口氏は、数あるオブザーバビリティツールの中でもNew Relicを採用した決め手を次のように説明した。

 「さまざまなAIツールと連携して開発者のEX(Employee Experience)を向上させ、CI/CD全体を観測できる点。そして、ソフトバンクの厳しい社内ポリシーにも適合し、シングルテナントかつスケールに強い料金体系であったことが決め手となりました」(田口氏)

ソフトバンク株式会社 IT統括 iPaaS事業開発本部 事業企画課 亀田 浩輝氏
ソフトバンク株式会社 IT統括 iPaaS事業開発本部 事業企画課 亀田 浩輝氏

 New Relicを導入したことで、開発メンバーがダッシュボードを閲覧できるようになったものの、すぐには全員が障害対応をできる状態にはならなかった。開発メンバーの一人である亀田氏は、3つの課題を挙げた。

 1つ目は、度重なる仕様変更によるダッシュボードの陳腐化。2つ目は、パイロット検証の段階のため本番データが不足し、アラートの閾値設定が形骸化していたこと。3つ目が、モダンな技術スタックを使用しているためにNew Relicとの連携に独自の処理が求められることである。

ソフトバンクが抱えた3つの苦悩と対応策
ソフトバンクが抱えた3つの苦悩と対応策

 これらの課題に対し、亀田氏は次のように対処した。

 1つ目の「ダッシュボード陳腐化」の問題には、「薄く作って育てる」アプローチを採用した。 当初は詳細なダッシュボードを作り込んだが、仕様変更ですぐに使い物にならなくなったためだ。そこで、ALB(Application Load Balancer)などサービスの基本となる指標の監視に絞り、小さく始める方針に転換した。要件が固まるにつれ、必要な機能を順次追加する運用に切り替えた。

 2つ目の「本番データ不足」については、閾値を仮説に基づいて設定し、一定の運用期間を設けて誤検知を抑制することで対処した。

 また、3つ目の「モダンスタックとNew Relicの連携」には、分散トレーシングを導入して対応した。Honoや独自のロガーを使用していたため、New Relic上でエラーが「その他」に分類され、前後の文脈が途切れてしまうという問題があった。

 そこで分散トレーシングを導入し、アプリケーション側に直接手を加え、New Relicに適したログ構造化を実施したのである。これにより、エラーを「点」ではなく「線」として監視することが可能となった。

次のページ
「全員で」New Relicを見る文化づくりへ

この記事は参考になりましたか?

Developers Summit 2026 セッションレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

 IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:New Relic株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/23620 2026/04/27 12:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング