Grafanaにネイティブ統合されたAIが習得の「壁」を壊す
これまでGrafanaそのものからGrafana Cloudまでざっと見渡したが、濃縮しても1ページに収めるのが難しいほど機能が豊富だ。それだけ数多くの機能を取り込み、拡張を続けてきたとも言える。
それゆえに「Grafanaは知っているけど、使いこなせている」と自信を持って言える人は多くないのではないだろうか。強力なツールであるゆえに、全体を網羅して習得するにはハードルが高くなってしまうことが起きる。クエリ言語の複雑さ、欲しい機能へのたどり着きにくさ、データのサイロ化などが起きがちで、結果的に十分な活用や期待した効果が得られないことも起きてしまう。
Grafana Labs シニアソリューションズエンジニア 角田勝義氏は「Grafanaのような製品は導入して終わりではなく、活用していくことで本来の効果を発揮していくものです。しかし活用に至るまでの壁が高い」と指摘する。
そこでGrafanaが壁を乗り越えるための解決策として提供するのが、Grafana Cloudにネイティブ統合されたAI「Grafana Assistant」だ。「こういうダッシュボードを作りたい」「こういうクエリで分析したい」と自然言語でリクエストすれば、それに沿ったものが作成される。人間の同僚と違い、どれだけ修正を依頼してもAIはめげずに改善してくれる点も心強い。
障害時には原因特定から復旧策や影響範囲の調査など、高度なスキルや経験がある専門家でないと難しい対応をAIが支援してくれる。他にも「こういうことをしたいのだけど」と相談すれば、最適な機能や設定をAIが提案してくれる。
角田氏はGrafana Assistantを「これまでツールの習得に費やしていた時間を、システムをより良くするための価値ある時間へと転換します」と話す。AIはデータが蓄積されているところで、よりよい効果を発揮できる。Grafanaにはすでに多くのデータが蓄積されているため、AIを活用するなら相性がいい領域と言えそうだ。
デモ:REDメソッドを知らずとも、アプリケーション性能監視ダッシュボードを作成
角田氏はGrafana Assistantを使用して何ができるかを2つのユースケースで披露した。まずはGrafana Assistantを開いてみよう。Grafanaを開いた画面で、左のメニューから「Assistant」を選ぶとGrafana Assistantに移る。
1点目のデモはダッシュボード作成だ。「専門知識がないからダッシュボードを作るのに苦労する」という壁を、Grafana Assistantが打破してくれる。
Grafana Assistant画面のプロンプトの部分で「Dashboard」と選ぶとダッシュボード作成のためのエージェントに切り替わる。そこで「アプリケーションの性能を監視するためのダッシュボードを作成して」と依頼すると、アシスタントがどのようなデータソースがあればいいかを考える。普段からGeminiやClaudeを利用していれば同じような感覚で操作できるので、あまり迷うことはないだろう。
AIがPrometheusなどのデータソースから目的に応じたデータを検索する。続いてリクエスト割合、エラー率、レイテンシといった「REDメソッド」に基づく重要指標のメトリクスを抽出して、グラフが作成されていく。
作成されたダッシュボードに対して「サービスごとにフィルタリングしたい」などのカスタマイズも可能だ。追加依頼に対して、必要な修正をAIが考えて全パネルに反映する。

