Railsは? フレームワークは?
ここまでで挙げられた言語には、JavaScriptやActiveScriptのようにPHPと補完し合える言語もあるが、一方で機能がバッティングする言語もある。この点を司会の個々一番氏が指摘すると、PHPとバッティングする言語の代表ともいえる、ウェブアプリケーションフレームワーク「Rails」を擁するRubyの高橋氏が、「PHPからRailsへ移行しているひともいるだろうが、PHPで上手くいってる開発をRailsでやろうとして上手くいかない事例もある。Railsの文化のなかから都合のいいところだけ取り出すようでは上手くいかない。PHPにはPHPのよさがあって、それをRailsと足せばもっと上手くいくんじゃないかと思うけど、そうでもない」と語り、竹迫氏が言及した「文化」を理解することの必要を語った。
ここで竹迫氏が「Rails」という言葉にひっかけて、フレームワークを使うと2本のレールに乗って目的地までまっすぐに到達するというイメージがあるが、「実際のフレームワーク界はというと……」とスクリーンに東京近郊区間路線図を映したので会場は大爆笑となった。
この路線図から、東京メトロで6月の開業時にダイヤが数日にわたって混乱した副都心線の例をひき、「新しいフレームワークはこなれるまで時間がかかるが、既にみんなが使ってる路線(フレームワーク)なら安定した時間で到着することができる。逆に、みんなが行かないところに行こうとするなら、公共交通機関以外の手段を持っていたほうがいい。いろいろな交通手段(フレームワーク、言語)を知っておくといいのかな」と語った。
ひが氏も、言語にはそれぞれの特徴があると語り、Javaをはじめとするモダンなプログラミング言語では、いろいろな言語のいいところを混ぜていって、だんだんごちゃごちゃした言語になっているが、ほかの言語からあまり持ってくる必要はない。「混ぜると危険」ではないだろうか、と語った。
コンピュータ言語の「文化」という側面に言及されたことで、後半はややメタ的な議論に推移した感もあるが、最後のまとめで「ひとつのプログラミング言語の仕組みや思想を理解しようとしても、複数の言語を比べてみないとわからないことが多い。必ずほかの言語を勉強するようにしたほうがよい」と、あまちゃん氏が述べたように、PHPユーザーに限らず、自分が利用しているプログラミング言語をより深く理解するためには、他の言語の良さや文化も積極的に理解することが重要だといえるだろう。もちろん、あまちゃん氏は最後に「できればJavaScriptを勉強してください」と付け加えるのを忘れなかった。
用意された時間がすぐに尽きてしまい、会場のPHPユーザーとの十分な質疑応答、議論が重ねられなったのは残念だったが、さまざまなプログラミング言語の熟練者の考えを知ることができる有意義なパネルディスカッションだったのではないだろうか。