はじめに
Bjarne Stroustrup氏は、プログラミング言語C++を設計・実装しただけではなく、側近と呼ばれる人々と共にその改善と普及のために間断なく活動してきました。(参照ページ:豊田孝の「IT談話館」)
著名なC++関連書籍の執筆者の一人であるScott Meyers氏は、マスコミの依頼に応じ、C++言語の発展と普及に貢献した偉大な人物と書籍をリストアップしたことがあります。Stroustrup氏とその書籍が、それぞれのリストの1番目に紹介されたのは言うまでもありません。(参照ページ:『The Most Important C++ People...Ever』)
Stroustrup氏はC++プログラミング言語書籍の執筆者としても既に超一級の名声を得ていることになりますが、同氏は今、入門者用の新たな書籍を執筆しています。
今回の質問意図
2008年の1月下旬頃、筆者はStroustrup氏から1通のメールを受け取りました。そのメールには、執筆中の書籍の「目次」と「序文」の入ったPDFファイル(ドラフト版)が添付されていました。「なぜ今頃になってC++設計者自らが入門書を書き下す必要があるのだろう?」これが一読後の筆者の素直な感想でした。C++入門書籍は巷に溢れかえっています。
Stroustrup氏は、店頭に並べられているC++関連書籍への不満を、機会を捉えては口にしてきました。筆者を含め多くのソフトウェアビジネス関係者は、同氏の書き下ろす入門書に注目しています。どのようなトピックが取り上げられるのだろうか。それらのトピックはどのような順序で登場するのだろうか。筆者は送られてきたファイルを何度も何度も読み返し、次のような質問メールを同氏に送信しました。