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Visual Studio Team System 徹底活用

楽して簡単! TFSの作業項目のあれこれ

Visual Studio Team System 徹底活用(3)

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作業項目テンプレートの利用

 少し主旨が変わりますが、せっかく作った作業項目も効率よく使えなければ、いずれ使われなくなってしまいます。作業項目定義を考えるときには、会社などで用意されている開発プロセスや自身が今までに行ってきたプロジェクトの経験などを踏まえて、こういったデータを取っておくことができればプロジェクトをうまく進めていけるなどと、かなりの時間をかけて検討しているはずです。

 ですがそのような場合、作業項目に書かなければいけない項目が膨大な量になっていることが容易に想像できます。その都度、大量の項目を記入しなければいけないとしたら、それを使わなくなることも容易に想像がつくはずです。そこで、できるだけ簡単に作業項目の入力が行えるように、Power Toolsには、作業項目テンプレートという機能が用意されています。作業項目テンプレートを利用することで、いつも同じ値を入力しておかなければならないような項目に、あらかじめデフォルト値を設定しておくことができます。

 では、早速見ていきましょう。今回は、Visual Studioでチームエクスプローラを利用します。表示されていない場合には、[表示]メニューの[チームエクスプローラ]から表示してください。Power Toolsがインストールしてあると図13のように表示されます。

図13:Power Toolsありのチームエクスプローラ
図13:Power Toolsありのチームエクスプローラ

 ここで、[Work Item Templates]を右クリックして[New Template]を選択します。どの作業項目のテンプレートを作成するのかを尋ねられるので、例えば[マイタスク]など対象のものを選択してください。画面上には作業項目の入力のような画面が表示されます。

図14:作業項目テンプレートの入力
図14:作業項目テンプレートの入力

 上図で紫線で囲んでいる部分は、テンプレートそのものを識別するためのデータを設定している部分です。テンプレートの名前や説明の部分は自分が分かるように設定しておきましょう。それより下側の部分は新規に作業項目を作成した時にあらかじめ設定される値を入力しておく部分です。ここに、初期値として設定しておきたいものをいろいろと入力しておきます。ところどころ<必要>と書かれている個所がありますが、本来は必須入力項目であることを示しているだけで、ここでは未入力でも問題ありません。なお、本来、このテンプレートを新規に作成した場合、[work item data]グループの中はすべて空白(必須入力項目は<必要>と表示)ですが、今回は試しに図14で赤線で囲っている部分をテンプレートデータとして作成して保存することにします。テンプレートを作成すると、チームエクスプローラに作成したテンプレートが表示されています。

図15:作成された作業項目テンプレート
図15:作成された作業項目テンプレート

 次に作業項目そのものを作成します。本来であればチームエクスプローラの作業項目フォルダから作成を行いますが、ここでは、作成したテンプレートから行います。図15のように選択すると新しい作業項目を作成することができ、新しく作成された作業項目にはテンプレートに記入しておいた項目があらかじめ設定されています。

図16:テンプレートから作成した作業項目
図16:テンプレートから作成した作業項目

 実は作業項目には工程単位などで同じ項目に同じ値を入力しなければいけないところが割と多く出てくることになります。このため、このような機能を上手に利用して、利用者が効率よく作業項目を作成していけるようにするのも重要な仕掛けになります。なお、作成した作業項目テンプレートは作成者本人が作業を効率化するために利用するものという意味合いがあるため、「マイドキュメント\Work Item Templates」フォルダ内に作成されます。そのため、このままではチームメンバーでこのテンプレートを共有することができません。チームメンバー全員でテンプレートを共有したい場合には、同フォルダ内にある「*.wt」ファイルをコピーして配布してください。

まとめ

 前回はしっかりと手順を追って作業項目定義を作成していく手順をみていました。今回は、いろいろな方法を確認して、臨機応変に、かつより簡単に、作業項目定義を作成していく方法をみていきました。実際の開発においては、プロセスはきっちりと決めてからやるべきだという意見もあるでしょう。ゆるく決めておいて柔軟に変更していけばよいという意見もあるでしょう。どちらにせよ、TFSが開発プロセスを管理するために中心的に利用される作業項目はそれらの要求に対応していくことができるということはご理解頂けたでしょうか。

 また、せっかく作成した作業項目定義も使われなければ意味がありません。多大な労力を払って作成することになることが多いものですので、今回紹介している機能などを駆使して、便利に使ってもらえるように仕掛け作りもしていくようにしましょう。

 次回は、作業項目の作成や作業の推移をより複雑により厳密に要求していくために、作業項目のフィールド規則を具体的に見ていくことにします。

参考文献

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト りばてぃ(リバティ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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