はじめに
前回は、Windows Azureストレージのブロブとキューを使用して、Windows AzureのWebロールとWorkerロールを連携させる方法について解説しました。シリーズ第4回となる今回は、ASP.NET MVCによるWindows Azureアプリケーション開発について取り上げます。
対象読者
- クラウド技術に興味がある方
- Windows Azureに興味がある方
- ASP.NET MVCに興味がある方
- Windows Azureストレージに興味がある方
ASP.NET MVCとは
ASP.NET MVCとは、従来のASP.NETとは仕組みが大きく異なるWebアプリケーション作成のためのフレームワークです。名前にあるとおり、MVC(Model View Controller)パターンと呼ばれるWebの標準的なアプリケーション開発手法に基づいています。本稿執筆時点で最新のASP.NET 4には、ASP.NET MVC 2が標準で組み込まれています。
本連載は、主にWindows Azureとその周辺技術について解説することを目的としていますので、ASP.NET MVCについての詳細はここでは省かせていただきます。
ASP.NET MVCについて詳しくお知りになりたい方は、連載「ASP.NET MVCフレームワーク 正式版 入門」や連載「ASP.NET MVC 2入門」で大変よくまとめられていますので、こちらを参照してください。
ASP.NET MVCによるWindows Azureアプリケーション開発の概要
前回までの記事をとおして、Windows Azure Tools for Microsoft Visual StudioをインストールしたVisual StudioおよびVisual Web Developerを使用すると、ASP.NETによるWebアプリケーション開発と同じ方法で、Windows Azure上で動作するWebアプリケーションを簡単に作成できることが理解できました。
ASP.NET MVCによるWindows Azureアプリケーション開発についても同じことが言えます。Windows Azure Tools for Microsoft Visual StudioをインストールしたVisual StudioおよびVisual Web Developerを使用するなら、簡単にASP.NET MVCによるWindows Azureアプリケーションを作成できます。
具体的な手順としては、新しいプロジェクト作成時に[Windows Azureクラウドサービス]テンプレートを選択し、その後に表示される[新しいクラウドサービスプロジェクト]ダイアログボックス中で[ASP.NET MVC 2 Webロール]を追加するだけです。これにより、ASP.NET MVC 2対応のWebロールが作成されます。その後は、通常のASP.NET MVC開発と同じ方法でWebアプリケーションを開発すればOKです。
なお、1つのクラウドサービスプロジェクト内に、(Webフォームを使用した)従来のASP.NET用のWebロールとASP.NET MVC用Webロールを共存させることも可能です。
注意点として、ASP.NET MVC 2対応のWebロールを作成できるのは、Visual Studio 2010およびVisual Web Developer 2010 Expressだけです。Visual Studio 2008 SP1やVisual Web Developer 2008 Express Edition with SP1では使用できませんので、ご注意ください。