メディアの人間には、直接会うことが一番
こうして動画を準備して、メディア向けの素材も揃えたら、いよいよ次はメディアに直接コンタクトを取る段だ。まずはどのメディアにコンタクトを取るかだが、iPhoneアプリの情報を発信している代表的なサイトは、日本国内だけでもAppBankやTouch Labをはじめ、数多く存在する。さらに海外まで見渡すと、全部で100ほどのサイトがある。宮川氏はiYamatoのプロモーションの際、これらのサイトをくまなくチェックして、どのような形で自身のゲームを紹介してもらえそうか、1つ1つ確認したという。
こうしてどのメディアにアプローチするかを決めたら、次に実際にそれらのメディアに対してメールや投稿フォームでアプリの情報を送る。しかし、ただ送るだけではなかなか記事として取り上げてはくれない。それどころか、メールの返信すらなかなかもらえないのが実情だ。宮川氏も次のように述べる。
「もう初めの内は、まったく相手にされない。でも、自分のことをまったく知らない相手に、何とかして自分のことを知ってもらわなければいけない。そのためには、メディアの人間に直接会うことが一番」
海外のメディアにも積極的にプロモーション
宮川氏はiYamatoのプロモーションの際、国内メディアはもちろん、海外メディアの担当者とも会う機会を積極的に作ったという。iNinjaで海外マーケットの難しさを痛感していた宮川氏、iYamatoでは「これでもか」というぐらい海外メディアに根回しを行った。
「海外のサイトがイベントやパーティーを主催すると聞けば出掛けていって、そこで直接記者やライターと話をして自分を印象付けた。また、初対面でもスムーズに話ができるよう、そのサイトで誰がどんな記事を書いているかもあらかじめすべてチェックした。さらに、リリース直後は毎朝3時、4時に起床して、海外のメディアとリアルタイムでメールのやりとりができるようにした」
こうしてあらゆる機をとらえて自身を相手に強く印象付けておき、リリース日に「あのときの私ですが、覚えていますか?今度新しいゲームを出すんですよ!」とメールを送れば、かなりの確率で記事として取り上げてもらえる。こうして発売日にメディアで多く取り上げられれば、ダウンロードランキングにもすぐ載る。そしてランキングに載れば、そこに掲載されるユーザーレビューの評判につられて、さらにダウンロード数が積み重なっていく・・・。

このような「3段ロケット方式」が、理想的なアプリリリースのシナリオだと宮川氏は説く。
「この3段ロケットを初めに点火するのは、メディアの記事。だから、メディアといい関係を築くことがとても重要になる。そのためには、メディアの人たちの立場に立って、細心の注意を払って接しつつ、いかに自分の本気度を伝えられるかがポイント。そして、最終的に一番大事になってくるのが、『感謝とネバーギブアップ』の精神だ」
アプリ本来の魅力を伝えきれなかった経験
ネバーギブアップ精神の例として、宮川氏は自身の体験を挙げる。現在同氏はAppBankと密接に協業しているが、初めて自身のアプリ(iNinja)をAppBankで取り上げてもらったときには悔しい思いをしたという。
「こちらの準備不足で、事前にAppBankにiNinjaの情報をきちんと提供できなかった。そのため、発売日にAppBankに掲載された紹介記事は、iNinjaの本来の魅力を伝えられていないと感じた。そこで、AppBankに再度メールを送ったり、紹介動画を作ったり、さらには新しい仕掛けを追加した新バージョンを開発したりもした」
こうして再度AppBankに記事として取り上げてもらえないかアタックした宮川氏だったが、残念ながら記事として再度取り上げられることはなかった。しかし、この経験は決して無駄にはならなかったと同氏は言う。
「結果として記事の掲載にはつながらなかったが、最後まであきらめずにへばり付いて、いろんな人たちに対して自分が作ったゲームの面白さを分かってもらおうと頑張ったおかげで、メディアの人たちと深いつながりができた。このときに築いた関係が、その後リリースしたゲームのプロモーションにつながったし、逆にあのときの頑張りがなかったら、今の自分は絶対にないと思う」
最後に、同氏は「プロモーションでやるべきことはたくさんあるが、その1つ1つをとってみれば、さほど難しいことではない。大事なのは、決してへこたれずにあきらめないこと。そして、メディアとはお互いを敬う、もてなしの精神を持ってやっていけば、きっといい関係を築くことができるはず」と述べ、プロモーション編を締めくくった。
次回は、「iPhoneゲームアプリ開発セミナー 人気ゲームアプリから見る3つの成功ポイント~プロモーション編」を紹介する。
