SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

DeveloperZine(デベロッパージン)- エンジニアの意思決定を支える技術情報メディア ProductZine

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

リレーションシップ駆動要件分析による実践的な要件定義手法

レビューを軸に駆動する

リレーションシップ駆動要件分析による実践的な要件定義手法(6)

マイルストーンを組み立てる

要件定義のゴールは変わる

 RDRAでは要件定義工程のゴールを「範囲、粒度、精度の3つを決めること」と捉えています。そして時間の経過とともにゴールは変わる(時間内に確実に終わる実現可能な範囲、粒度、精度にする)と考えます。つまり、要件定義工程のようなプロジェクトを開始して間もない状況では、プロジェクトの体制やシステム化対象は常に変化します。それに伴って「範囲、粒度、精度」を明確にしていく必要があり、それがゴールを変えることにつながります。先の記事(「要件定義の4つの構造と依存関係に着目した実践手法」図2参照)で書いたように粒度の揃っていない要件定義書よりも、多少粗くても粒度の揃った成果物の方が有効です。そこを目指すためにもゴールを変えていく必要があります。

図2 要件定義のゴール
図2 要件定義のゴール

 現代のように変化の激しい時代には当初予定した「範囲、粒度、精度」で成果物を完了させることよりも、その時々の状況を把握しマイルストーンごとに必要な情報(判断材料となる情報)を組み立てることを優先します。「成果物ができたときには状況が変わっていて使い物にならない」とならないためにも状況に適合することを目指します。つまり、成果物の完成よりも計画通りにレビューを開催することを優先し、そのために成果物の範囲、粒度、精度を調整します。そしてレビューの場で状況に応じた適切な判断ができるように、議論に役立つ情報を成果物に盛り込みます。

 成果物が完成するまで期日を伸ばすことは状況を無視し、軌道修正するタイミングを遅らせることになります。それよりは計画通りにレビューを開催することで確実にプロジェクトを前進させることが大事です。

 また、要件定義は方向性を示すことが重要なので、内容が粗くても方向性を示すために、成果物の粒度を調整し中途半端で終わらないようにします。

テーマの候補

 プロジェクトの特性や取り巻く状況はさまざまですが、要件定義におけるマイルストーンとテーマは一般化することができます。表1は一般化した7つのマイルストーンを候補とそれを分類した3つのフェーズを示しています。

 要件定義工程だけで7つのマイルストーンを使用することはありませんので、これらのマイルストーンをプロジェクトの状況に合わせて組み合わせて適用します。

表1 マイルストーンの候補
フェーズ マイルストーン テーマ
状況把握 自己理解度を測る
現状分析
方向性の確立と組立 コア把握と方向性の確立
システム化への組立
網羅性の確保
整合性確保 整合性確保
項目レベルで整合性確保

 表1のフェーズはマイルストーンを分類したもので、大きく3つに分けられます。「状況を把握し方向性を確立して、そこに向かって組立を行い、最後に整合性を合わす」大きな流れを表しています。その中に作業テーマの候補として7つを上げています。プロジェクトの特性によりこれらのテーマの必要性や重要度が変わります。実際のプロジェクトにおいて7回のマイルストーンは多すぎるので、候補を参考にいくつかのテーマを組み合わせてマイルストーンを組み立てます。

 RDRAでは要件定義として定義する情報はモデルとして規定されています。各マイルストーンではモデル情報の洗い出しと洗練化が主な作業になります。しかし、テーマが異なることで同じモデル作成においても洗い出す内容や洗練化の視点が異なります。

 例えば表1の「自己理解度を測る」では正確な情報ではなく、あくまでも自分たちが知っている情報をモデルとして表現します。同時に知らない部分については深追いせずに分かる範囲で作業します。これにより自分たちの理解度を正確に知ることができます。

 一方「コア把握と方向性の確立」では、システムの重要なポイントとその実現のための方向性を明確にすることが求められます。従って網羅的に情報を整理するのではなく、システムにとって大事な点を意識しながら情報の整理を行います。

 このようにマイルストーンにテーマを設定し作業に方向性を持たせることで、同じ成果物であっても作成する視点が違ってきます。この視点を変えながら成果物を見直すことで状況に適合した成果物を作成することができます。

次のページ
目的を徐々に明確にする

この記事は参考になりましたか?

リレーションシップ駆動要件分析による実践的な要件定義手法連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

神崎 善司(カンザキ ゼンジ)

(株)バリューソース代表大手SIerにおいて大小10システム以上のプロジェクトリーダを勤め、20年ほど前に独立。2002年から5年間(株)豆蔵での社員も兼任しながら要件定義などの上流工程のコンサルティングを行う。2008年に要件定義手法「リレーションシップ駆動要件分析(RDRA)」を開発し現在はその...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/5989 2011/06/16 14:00

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー