はじめに
本稿では、開発から運用まで一貫して利用できるロギングライブラリの「log4net」を紹介します。
読者の皆さんは、アプリケーションの挙動を確かめるために、メッセージボックスを表示(MessageBox.Show
)させたり、デバッグウィンドウにメッセージを出力(Console.WriteLine
)していませんでしょうか。これらの方法は手軽な反面、リリース前にMessageBox.Show
をコメントアウトしなければいけない、Console.WriteLine
の出力メッセージを実行形式のモジュールから見ることができないなど、本番運用には適しているとはいえません。しかし、log4netを使用すると簡単に効果的なログ出力が可能になります。
対象読者
.NETにて開発を行っている方を対象としています。
必要な環境
サンプルはVisual Studio .NET 2003で作成され、.NET Framework 1.1、log4net 1.2.0 beta8で動作確認をしています。
サンプルアプリケーションの概要
サンプルアプリケーションはWindowsアプリケーションで、実行すると小さなウィンドウが起動します。真ん中のボタンをクリックするとlog4netによって様々なログが出力されます。
このサンプルアプリケーションには、あらかじめlog4netが同梱されているため、改めてlog4netを入手する必要はありません。「Log4netSample.exe.config(App.config)」の下部の<appender-ref>
のコメントアウトを外すことで、DBへのログ出力・イベント出力・メール送信などを簡単に確認できます。
log4netの特長と入手方法
log4netはJavaで有名な「log4j」を.NETに移植したロギングライブラリです。設定ファイルを変更するだけで動的に出力先(ファイル・メール・イベントログなど)とメッセージのフォーマットを切り替えることができます。またAPIがシンプルなので使い方を覚えるのが簡単で、ログ出力に伴う負荷(コスト)が少ないこともメリットといえるでしょう。
log4netはオープンソースなのでWebサイトから入手することができます。入手するにはApacheのlog4netのホームページにアクセスします。ファイル「log4net-1.2.0-beta8.zip」を解凍して、「bin」フォルダから利用環境に応じた「log4net.dll」を使用します。