フランスはこんな国
フランスは、前回のデンマークに比べて、日本ですごく知名度が高く、情報も溢れている国です。国の名前を10個上げてくださいと言われたら、たいていその中にフランスが入ってくるのではないでしょうか。『海底二万リーグ』などのSFの父ジュール・ヴェルヌ、『三銃士』(アレクサンドル・デュマ)のような小説、日本の高専にあたる「ポリテクニーク」という制度など、僕らの生活は、フランスからの影響をそれなりに受けているのですが、ナポレオンやフランス料理、ルーブル美術館みたいな数百年前の情報はともかく、ここ10年ぐらいのハッカーやテクノロジーについての情報は、あまり見かけない国でもあります。
日本文化への親和性は高く、古くから浮世絵、料理での和食、近年のアニメ・マンガ・ゲームなどの受け入れが多く、僕が訪ねたときにもパリで北斎の展示会が行われていました。
かつてはヨーロッパを制した帝国をつくったこともあり、プライドが高いことは間違いなさそう。僕はヨーロッパで一番、「英語じゃなくてフランス語を話せ、ココはフランスだ」という声を様々なところで聞きました。「Excuse Me」じゃなくて「パルドン」と言わないと振り向いてくれない、空港のキオスクでさえそうです。
その気位の高さはハッカーにも受け継がれていました。
ハッカースペースの多い街パリ
フランスの首都パリには5つのハッカースペースがあり、まだ増殖中ですが、「Blackboxe」と「Le Loop」の2つは場所を共有しています。今回はそのBlackboxe/Le Loopを紹介します。パリの中心部、運河や川で囲まれて島のようになった一角は「イル・デ・フランス(Ile de France)」と呼ばれますが、そのイル・デ・フランスのまっただ中に、駐車場やトレーラーハウスが並び、フリーマーケットなどが行われている一角があります。
ハッカースペースのある一角。奥の建物の階段を下がる。看板などはないので注意が必要。Google Mapとこの写真を見ながらなら、たどり着けると思います。
その側にある階段を降りていくと、半地下の空間にハッカースペースが広がっています。
僕が訪ねたときも、何人かのハッカーが黒いTシャツを着てコンピュータに向かっていました。
天井から下がったケーブル、やや猫背の姿勢、別におそろいにしたわけじゃないのになぜか多い黒いTシャツ、そしてファンタジー系のデスクトップ、非常に「ハッカースペースらしい」空間です。