SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

DeveloperZine(デベロッパージン)- エンジニアの意思決定を支える技術情報メディア ProductZine

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

世界ハッカースペースガイド

ネットの中立性を守れ! パリのレジスタンスハッカー達 ~フランスのハッカースペースBlackboxe/Le Loop

世界ハッカースペースガイド 第3回


フランスらしいレジスタンス精神

 18世紀に民主主義の元祖と呼ばれる思想家ルソーを生んだフランスは、伝統的に労働組合の力が強く、軍隊や警察がストライキを行うほど、個人主義と反抗の伝統があり、それらはハッカーの好きなモノと相性がいい気がします。

 どこのハッカースペースにもステッカーはあるものですが、Blackboxe/Le Loopのステッカーは質・量ともに最大でした。

 左上から、POLITICAL MEMORYは、政治家が議会でどういう政策へ賛成/反対したかを記録する、Pythonで書かれたオープンソースのWebアプリケーション。

 「DON’T [黒字で伏せられた] THE INTERNET!」と、その下の「SUPPORT LA QUADRATURE!」、そして右側の円周率マークのような2つは、LA QUADRATUREというインターネットの市民の権利と自由を守る非営利団体です。趣旨のページには、アドボカシー活動(意見を出して政治に影響を及ぼすこと)が掲げられ、いわゆる「圧力団体」「プロ市民」の印象もあります。

 活動としては、インターネットの検閲反対、インターネットの匿名性確保、表現の自由の確保、デジタル時代にあわせた著作権法の改定、オンラインプライバシーの確立などを目指していて、フランスのISPやレジストラの経営者が参加しています。掲げられているテーマの一つの「ネット中立性」は、「通信事業者は通信の中身を見るな、アクセス元やアクセス先の情報を他者に提供するな」という考え方を指します。それはオンラインプライバシーの確保にも繋がるし、クラッキング行為の摘発をやりづらくすることにもつながります。Blackboxe/Le LoopのメンバーはTorのような匿名化技術を支持し、推奨しています。こういうことは「全員が満足する」のは難しく、いろんな意見が出てくる話題だと思います。

 いま僕が住んでいるシンガポールは、「安心して使えることがだいじで、そのための規制ならガンガン入れましょう。ただし、市場原理に反対することはよくないので、市場がちゃんと機能するようにデザインしましょう」という考え方。たとえば住宅街への監視カメラの導入とかも多くの市民は前向きです。また、イノベーションを阻害するような規制は政府が主導して緩和します。「ハッカデミア(Hackerdemia)」なんていうプログラムに助成金がつくぐらい、テクノロジーに対しては政府からの補助が強いです。

 フランスのハッカースペースは真逆で、多少インターネットが使いづらいモノになっても、自分たちの行動を自分たちでコントロールできる権利を求めています。規制は、「規制である」というだけで認めづらい、政府からはコントロールも補助もなるべくされたくない、という考え方。

 どちらも立派な考え方だと思います。

 アジアだと政治団体とネットの相性はあんまりよくなく、テクノロジーベースの政治的な集団はあまり見ません。津田大介さんたちがMIAUという団体をやっているのが目立つぐらい。

 中央のピンクと黄色のシールは対になっていて、「俺たちはデータが好きなんだ!(WE MAKE DATA LOVE)」と「ポルノのデータを作るよ!(WE MAKE DATA PORN)」を掛け合わせた、ちょっとクセのあるジョーク。

 フランス的な精神の表れを「エスプリ」と言うようですが、こういうクセのある頭を使ったジョークがエスプリなんだと思います。

 ぼくのまわりの京都出身のエンジニア、ちょっと皮肉屋で理屈っぽい人が多い気がするのですが、パリのハッカースペースはそういうエンジニアがたくさんいて、喋っていて楽しかったです。

 今年の春から夏にかけて、アジアでMaker Faireが続々開催されます。

 「Maker Faire 台北 2015」は、5/30、31に行われます。東京からは最も安く行けるMaker Faireとして、身近な所なので、日本のMakerを集めて共同出展を考えています。ご興味ある方はこちら

 「Maker Faire 深セン 2015」は6/19~21に行われます。こちらについては僕は実行委員をやっているので、日本語での申し込みが可能です。

 また、僕が拠点にしているシンガポールでも「Mini Maker Faireシンガポール」が、7/11、12で行われます。こちらも日本語で申し込みができるようにするつもりです。

BlackBoxe/Le loop
  • 住所:20 rue de Reuilly 75012 Paris, フランス
  • 広さ:80m2
  • 会員料:無料(寄付)
  • 訪問難易度:★★★(星3つが最も簡単)
BlackBoxe
Le loop

 住民はいないので、事前にアポイントが必要です。ほぼ毎日誰かいるようですが、メールやIRCでアポイントを取ってから行った方がよいです。

 毎週水曜にはオープンデーを行っています。

 地下のわかりにくい入り口ですが、今回の記事に写真を載せたので、入口さえわかれば訪問難易度はかなり低いと思います。Google Mapにしっかりと出てきます。ハッカースペース内は英語も通じますが、そこまでの道のりでは、英語話してくれない人も多いのでちょっと注意。

この記事は参考になりましたか?

連載通知を行うには会員登録(無料)が必要です。
既に会員の方はを行ってください。
世界ハッカースペースガイド連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

高須 正和(タカス マサカズ)

無駄に元気な、チームラボMake部の発起人。チームラボニコニコ学会βニコニコ技術部DMM.Makeなどで活動をしています。MakerFaire深圳、台北、シンガポールのCommittee(実行委員)、日本のDIYカルチャーを海外に伝える『ニコ技輸出プロジェクト』を行っています。日本と世界のMakerムーブメントをつなげることに関心があります。Twitter: @tks

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/8412 2018/01/10 13:13

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー