SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

PHP 7がやってきた!!

PHP 5からPHP 7へ移行する際に気を付けるべきポイント

PHP 7がやってきた!! 第2回

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

削除された関数

 PHP 4.1から既に推奨されなくなっていた関数のcall_user_method()とcall_user_method_array()が廃止されました。PHP 7ではこれらの代わりにcall_user_func()とcall_user_func_array()もしくは可変関数などのように代替の手段で置き換える必要があります。

リスト8 削除されたcall_user_methodの例(call_user.php)
class Hoge{
    function foo(){
        echo "Hoge.foo() \n";
    }
}
$hoge = new Hoge();

call_user_method("foo",$hoge);         // PHP 7では削除
call_user_func(array($hoge,"foo"));    // call_user_funcを使った記述

16進数形式の数字文字列の扱い方

 16進数形式の文字列を数値として処理をする場合には、PHP 5.xでは数値として扱うことができましたが、PHP 7では通常の文字列として扱うようになりました。このため、PHP 5.xと同様な振る舞いを望む場合にはリスト9でしめすようにfilter_var関数を通して行うことで回避することが可能です。

 また、数字文字列の扱い方での変更ではありませんが、8進数の表記で誤りがあった場合にPHP 7ではエラーの扱いに変わりますのでこちらも関連して知っておくと良いでしょう。

リスト9 数字文字列の扱い方(number.php)
$num = "0x123";             //(1)16進数形式の文字列

var_dump($num + 0);         // PHP 5.xでは291 / PHP 7では0
var_dump(is_numeric($num)); // PHP 5.xではtrue / PHP 7ではfalse

$num1 = filter_var($num, FILTER_VALIDATE_INT, FILTER_FLAG_ALLOW_HEX);
var_dump($num1 + 0);         // PHP 5.xでは291 / PHP 7では291
var_dump(is_numeric($num1)); // PHP 5.xではtrue / PHP 7でもtrue

$num8_1 = "0709";              //(2)誤った8進数表記
var_dump($num8_1 + 0);         // PHP 5.xでは709 / PHP 7でも709
var_dump(is_numeric($num8_1)); // PHP 5.xではtrue / PHP 7でもtrue

$num8_2 = 0709;                //(3)PHP 5.x では56(070) / PHP 7ではエラー
var_dump($num8_2);

 (1)のように"0x"で始まる文字列についてPHP 7ではあくまでも文字列としての扱われますが、(2)のように誤った8進数表記の場合には10進数の数字として扱われます。

 ただし、文字列として記述した場合ではなく(3)のように数値として記述している場合にPHP 5.xでは070として8進数の数字としてあつかわれますが、PHP 7では無効な数値表記としてのエラーとして扱われます。

JSON拡張モジュールの内部実装の変更

 JSONモジュールの内部実装が変わり、jsondというモジュールに置き換わりました。基本的には、関数名などが変わるわけでもないためPHPのコード自体で変更が必要ということはありませんが、リスト10のように数値関連で多少の問題が生じるケースがあります。

リスト10 数値関連で問題となる表記(json.php)
//(1)PHP 5.xでのみ記述可能な形式
$json5 = <<< JSON
{
    "value1" : 32,
    "value2" : 20.,
    "value3" : 2.e3
}
JSON;

//(2)PHP 5.x/PHP 7ともに問題ない記述
$json7 = <<< JSON
{
    "value1" : 32,
    "value2" : 20.0,
    "value3" : 2e3
}
JSON;

var_dump(json_decode($json5));
var_dump(json_decode($json7));

 (1)のJSON形式のvalue2において小数点で終了している形式、value3のように指数eを用いた場合でも少数点で終了している数値に続いて記述することはできなくなりますので、(2)のように20もしくは20.0、また2.e3は2e3もしくは2.0e3のように記述する必要があります。

$HTTP_RAW_POST_DATAの削除

 $HTTP_RAW_POST_DATAを使ってPOSTデータを取得することができなくなりました。application/x-www-form-urlencoded あるいは multipart/form-data などのContent-Type以外のデータを取得する場合に使っていた場合などに使うケースがありますが、今後は、php://inputを使うようにします。

INIファイルのコメントアウトの変更

 INIファイルでは#で始まる行はコメントとして扱われていましたが、この形式がサポートされなくなりました。代わりに;(セミコロン)を使う必要があります。また、この変更はparse_ini_file()やparse_ini_string()にも適用されるので注意が必要です。

ASPタグとScriptタグの廃止

 PHPでは通常は「<?php」で始まり、「?>」で終了するタグを利用します。現在では、終了タグは省略することが推奨されているので、終了タグは使っていない方もいることとは思いますが、PHP 5.xまでは、「<%、%>」や「<%=」もしくは「<script language='php'>」のようなタグの利用も行えましたが、これらのタグはPHP 7では利用できなくなりました。

 また、「<?=」はPHP 5.3まではshort_open_tagの設定に依存していましたが、PHP 5.4からは常に使えるようになっていますので、PHP 5.3からの移行の場合にはこれらも知っておくと便利です。

次のページ
各種フレームワークでの対応状況

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
PHP 7がやってきた!!連載記事一覧
この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 小林 昌弘(コバヤシ マサヒロ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/8952 2016/02/05 14:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング