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【夏サミ2016】セッションレポート

社会的な問題に「パッチを当てる」ハッカーになるためには?――リンダ・リウカスさんと及川卓也さんが考えること【夏サミ2016レポート】


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 かつてネガティブなイメージを持たれがちだった「ハッカー」とは、本来「技術的な課題をクリア(なかったことに)する人々のこと」だ。コンピュータや電気回路などに留まらず、あらゆる技術・知識を駆使して、社会にブレイクスルーをもたらす。そんな真のハッカーとして注目される『Hello Ruby(邦題:ルビィのぼうけん)』の著者リンダ・リウカスさんと、昨年Qiita運営元であるIncrementsに転職しHack For Japanのメンバーとしても活躍する及川卓也さんの二人をお招きし、モデレーターの翔泳社 岩切晃子がハッカーとしての生き方、在り方についてお話を伺った。

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他人の困りごとを自分ごととして、解決に尽力できるのが「ハッカー」

Increments株式会社 及川卓也さん

岩切 そもそも「ハッカー」と聞いて、皆さんはどんなことを考えますか。『ハッカーズ大辞典』の著者であるエリック・レイモンドのサイト「How To Become A Hacker」では「ハッカーはモノを作ります。クラッカーは壊します」と定義しています。そして「自由と自発的な助け合いを信条としている」と続け、「すべての創造的な芸術と同様、熟達者になる最高の方法は熟達者の精神をまねることです。知識面だけでなく、感情的な面も含め」と語っています。

 つまり、先人にならってマインドだけでなく実際に手を動かすことが大切。ハッカー的心得は日常生活に伝えるプラクティスではないかと思います。私見としては、社会的な問題に「パッチを当てる」というイメージでとらえています。

 そこで、まずはお二人にそれぞれのプロフィールと、その中での活動で感じた「ハッカーとは?」という問いに対する答えについてお話しいただきたいと思います。

及川 Incrementsの及川です。土木建築士だった父に倣い、世界を変えられるほどのインパクトを世の中に与えたいという大それた考えのもと、DEC に就職し、その後Microsoft、Googleを経て昨年Incrementsに入りました。会社選びで共通しているのは「世界を変える」意欲です。おもちゃのような技術から、世界を大きく変えるような破壊的なイノベーションが生まれるという、期待感を持っていました。

 そしてもう1つの活動として、Hack For Japanというコミュニティを立ち上げました。東日本大震災直後の被災地で何かできないか、プログラムや開発で役に立つことはないかと考えたわけですが、正直言うと当時は本当に必要なものが理解できておらず、あまり役に立たないことの方が多かったですね。

 でも、私は諦めていません。しつこいんです(笑)。地震の3週間後に災害の現場を見て、人に会ってしまった。もう忘れられないですよね。今もまだ大変な思いをされていることを知っているので、どんなことをしてでも続けていきたいと思っています。その中で一つ、情報の大切さを痛感したことで、一般社団法人情報支援レスキュー隊(IT DART)を立ち上げました。この活動は、熊本地震でもいくつかの成果をあげることができました。

 そんな私が、もし大学に戻って「世界に対して何ができるのか」という問いに遭遇したら、おそらく「The world is you」と答えるでしょうね。私が関わったあらゆることを介して、人々が活動している。それがそのまま世界なのではないかと。つまり、周りにいる人を考えるという小さなステップこそが、すでに「社会的ハック」の入口なのだと思います。

岩切 ありがとうございました。及川さんとはHack For Japan以前からの長い付き合いですが、Windows NTのバグがどんどん報告される中でも食事をしながら黙々と答えられているのが印象的でした。プレッシャーのかかる場でも明るい方なんですよね。

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及川さんのインタビューを収録している
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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/9640 2017/04/14 21:30

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