IPA(情報処理推進機構)は、AIの社会実装に係るさまざまな課題を整理し、AIの社会実装に向けた課題解決のために行うべきことを明確にして、社会実装の方向性をまとめた「AI社会実装推進調査報告書」を、6月19日に公開した。
「AI社会実装推進調査報告書」は、東京大学の松尾豊氏を委員長とした委員会において、国内外調査の結果を基に、AIに関する期待、社会実装課題の抽出を行い、社会実装推進の方向性を検討し、報告書としてまとめたもの。
報告書の概要は以下の通り。
AIの社会実装を推進するためのおもな課題
- ユーザや社会に係る課題(AIの理解、社会受容性、AIと人との協調)
- 国際課題(国際競争力、データの流通)
- 開発に係る課題(AI人材の育成、学習環境、学習データ・学習済モデルの流通)
- AIの特性に係る課題(AIシステムの検証性、AIシステムの安全性、AIの精度)
- 法制度に係る課題(AIと法制度、個人情報・プライバシー)
AIの社会実装推進の方向性
- AIで日本を強化する
- 社会システムから変えていく
- 企業や消費者の理解を促進する
- 人とAIが協調し、ともに成長する
- AIのリスクと安全性を考える
- AI開発のエコシステムを活性化する
- サービスを生むデータ戦略を考える
- AIで生じる法制度の課題を検討する
AIのリスクと安全性を考慮した、社会実装の方向性の具体例
- AIシステムのリスク分析ガイド、検証基準、安全基準などを整備し、AIを活用したシステムのリスクを評価・対策し、安全性を高める
- 第三者評価機関のAIが学習プロセスを監査する
- 予期せぬ挙動やプライバシー侵害を防ぐ仕組みを検討する
さらに、AIのリスクと安全性を検討した結果、AIの安全性の向上、一定の安全性を保障する検証の仕組み、個人情報や企業機密の保護が期待される。また、AIの標準化、自動運転の安全性検証といった関連施策や取り組みへの反映が想定される。
なおIPAは、「AI社会実装推進調査報告書」の内容も盛り込んだ、「AI白書」の年度内での発行を予定している。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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