オープン技術をベースにしたCloud Native開発プラットフォーム
このOCI上でのCloud Native開発をより手軽に行えるよう、現在オラクルではさまざまなサービスを展開している。茂氏によれば、現在のCloud Native開発には大きく分けて3つの課題が存在するという。
「クラウドサービスごとに独自のAPIやサービスを提供しているため、せっかくCloud Nativeなアプリケーションを開発しても、現状ではクラウドサービス間の互換性や可搬性に制約がある。またCloud Native開発のためのさまざまなオープンソース製品が乱立しており、それらの導入・利用のノウハウを持った人員を確保するのがだんだん難しくなってきている。さらには、アプリケーションの開発、リリース、運用の各フェイズで複数のツールを使い分ける必要があり、ツールの管理・維持コストもかさんでしまう」
こうした課題を解決するために、オラクルでは「Open」「Managed」「Inclusive」という3つのキーワードを掲げて、Cloud Native開発のソリューションを展開している。まずOpenに関しては、Kubernetesをはじめとするオープンな技術を採用し、ソースコードに独自の変更は加えず可搬性のある開発環境をサポートする。またオープンソースコミュニティの活動に積極的にコミットし、Cloud Native技術の進化や普及に貢献している。
Managedに関しては、ソフトウェアのインストールやパッチ適用、アップグレード、バックアップ、スケーリングといった煩雑な運用作業を、オラクルのManagedサービスが代行することで、ユーザーはアプリケーションの開発や管理に集中できるようになる。さらにInclusiveに関しては、コンテナレジストリやCI/CDビルドパイプライン、監視・通知ツールなど、コンテナベースのアプリケーション開発に必要な各種サービスを、クラウドサービスとしてエンドツーエンドで提供する。
そのためにオラクルが提供しているのが、先日発表されたばかりの「Oracle Cloud Native Services」だ。これは、前出のOKEやOCIRに加えて、Cloud Native開発のために必要となるさまざまな周辺サービスをセットにして、OCI上でまとめて提供するというもの。
発表当時はLimited Availability(LA)だった「Resource Manager」「Monitoring」「Notifications」「Streaming」の各サービスは日本時間の2019年3月1日、General Availabilityとなり利用可能となった。
サーバレスアプリケーションの開発・実行フレームワーク「Oracle Functions」や、TerraformをベースにしたlaCの機構「Resource Manager」、サービスや各種リソースの利用状況を監視する「Monitoring」といったように、Cloud Nativeなアプリケーション開発・運用に必要なサービス一式が提供されており、これらをニーズに応じて適宜組み合わせることでOCI上で効率的にアプリケーションの開発・運用が行えるようになっている。
特にOracle Functionsは、近年注目を集める「サーバレス」「FaaS」をより多くの技術者にとって身近なものにしようと、オラクルが公開したオープンソースプロジェクト「Fn Project」が実行エンジンとして採用されている。オープン技術をベースにすることで、クラウドサービス間、あるいはクラウド・オンプレミス間で互換性や可搬性の高いコンテナベースのサーバレスアプリケーション開発・運用が可能になるという。
本セッションでも、実際にオンプレミスのFn Project環境で開発したコンテナベースのファンクションを、OCI上のOracle Functionsに移してそのまま実行するデモが披露された。
「Oracle Functionsは、IoTデータの収集・処理やリアルタイムストリーム処理、クラウド上のバッチ処理など、さまざまなユースケースにおいて活用できる。オープンな技術をベースにしており、誰でもすぐ試せるため、ぜひOracle FunctionsとFn Projectでサーバレスに気軽にチャレンジしてもらいたい」(茂氏)
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