各社の技術ブランディングのための施策とは?
セッションに集結した3社。それぞれの技術ブランディングはどのようにして行っているのか?
冒頭、「ウェブとフィジカルの双方で技術的な接点を持つようにしている」と口火を切ったのはパウリ氏だ。ビットキーでは、SNSやテックブログを通じてアドベントカレンダーや開発組織を公開するなど、精力的に技術ブランディングを行っている。さらにブランディングの一環として年間約20件のイベントスポンサーも行っており、パウリ氏自身もさまざまな会場に足を運んでいるという。
LayerXでは、技術的な投資を重視する「Bet Technology」が行動指針として示されている。同社ではこの価値観を基に、テックカンファレンスや学会といったイベントの協賛やエンジニアブログの執筆、社内向け月報やノベルティの製作などを進めているという。
多岐にわたる技術ブランディングを展開できている理由として、「全員をうまく巻き込む土壌ができていることが大きい」と語るserima氏。さらに社内には技術ブランディングを推進する「技術広報ギルド」があり、専任担当であるserima氏を含めた10名弱で積極的に活動しているという。こうした企業風土や支援組織を背景に、エンジニアの登壇を積極的に後押しする取り組みも行われている。
ログラスの施策もビットキーやLayerXと似ているが、伊藤氏が全体の流れにフォーカスして紹介した。創業期はプロダクトに深くコミットしつつも外部への発信を得意とする人材が集まっていたため、日々の活動を通じて自然と情報発信が行われていたという。一方で組織の拡大期に入った後は、初期メンバー以外のエンジニアも増えるなかで、「認知」より「愛着」にフォーカスした広報へとシフトしていった。
これは技術ブランディングの目的に立ち返ったものであり、ログラスに関わる外部の人材に対して「自分たちの組織の魅力を感じてもらい、企業文化などにフィットした人に入社してもらう」ことを念頭に置いた結果生まれた視点だ。この時期にはテックトークなどを通じてエンジニアが自由に技術や経験を語る機会を設けたといい、「とにかくボトムアップでログラスの魅力を発信したフェーズだった」と伊藤氏は回顧した。
なお、伊藤氏は現在のログラスを「戦略的に技術ブランディングを行う段階」と位置付けており、組織の成長に伴って「どのような人に自分たちのメッセージを届けたいのか」を設計していると紹介。技術カンファレンスでも、この戦略に基づいてどのようなメッセージを伝えるかを考えたブース設計などを実践しているという。