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日本の銀行として初めてAPIを開発、FinTechを牽引するSBIグループの新たな挑戦

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2019/05/27 12:00

 日本の銀行として初めてAPIを提供し、マネーフォワードと連携するなどFinTechの導入を加速させてきた住信SBIネット銀行。2016年に公開したAPIは短期間で開発が完了した。さらにSBIグループでは、住信SBIネット銀行で培ったAPI提供のノウハウを地方銀行など他の銀行に提供するため、2017年2月、SBI FinTech Incubationを設立した。一見、レガシーに見える金融業界で、なぜAPIがスピーディーに提供できたのか。さらに、このFinTechの知見が広がると、世の中にどのようなインパクトを与えることができるのか。住信SBIネット銀行設立当初からフロントシステムの開発に携わり、現在はSBI FinTech Incubationの代表取締役を務める木村美礼氏に話を聞いた。

日本の銀行で初めてAPIを公開した住信SBIネット銀行

 既存産業にテクノロジーを組み合わせる動きがさまざまな業界、企業で起こっている。その中でいち早く注目を集めたのが、金融とITを組み合わせたFinTechだ。日本の金融機関としてFinTechにいち早く着目し、さまざまな挑戦をしてきたSBIグループでは、金融機関におけるイノベーションの実現に向け、2017年、FinTechの活用をはじめとするコンサルティングサービスを提供するSBI FinTech Incubationを設立した。同社代表取締役の木村氏は「FinTech分野でのオープンイノベーションの促進、FinTechを活用したビジネスの高度化へ貢献することが当社のミッション」と語る。

SBI FinTech Incubation 代表取締役 木村美礼氏
SBI FinTech Incubation 代表取締役 木村美礼氏

 そのために構築・提供しているのが「フィンテックプラットフォーム」である。このフィンテックプラットフォームはオープンAPI公開基盤を含むプラットフォーム・サービスであり、国内外のFinTechベンチャーが提供する各種FinTechサービスおよびシステムを接続することで、金融機関は利用したいFinTech機能を選択できる仕組みとなっている。

 フィンテックプラットフォームの元となるのは、住信SBIネット銀行が2016年3月に構築したAPI公開基盤である。同基盤の開発の目的は、口座残高や取引などのデータを、社外のアプリケーションからシームレスに利用できるようにすることで、ユーザーに新しいサービスを提供するため。FinTechベンチャーであるマネーフォワードが提供する資産管理アプリ「マネーフォワード for 住信SBIネット銀行」は同基盤を使った第一号のサービスだ。

 ではなぜ、住信SBIネット銀行はこのようなAPI公開基盤の開発に踏み切ったのか。同プロジェクトのリーダーとして開発を推進していたのは、当時システム部長兼担当役員だった木村氏である。

 「開発面での課題は、いかに早く、コストをかけずに開発を効率的に進めていくかでした。この解決手法として考えたのがAPI化です。ちょうど世の中的にも、オープンAPIという方向に流れ出した頃。そこで時代にマッチしたシステム構成に変えるために、2015年12月に開発をスタートさせたのです」(木村氏)

API公開基盤を短期間で開発できたわけ

 同基盤は先述したように翌3月にはリリースされており、スピーディーに開発されている。

 一般的に金融システムの開発というと、長い年月をかけて開発するというイメージがある。なぜスピーディーな開発が実現できたのか。その理由は、住信SBIネット銀行のシステムアーキテクチャが疎結合を前提とした作りとなっていたことにある。

 「銀行のシステムはレガシーと言われていますが、住信SBIネット銀行はインターネット専用の銀行です。開業当初からすべての業務において、その時に一番いい構成でシステムを構築していくという考えがありました。そのため、拡張性を考え、住信SBIネット銀行開発当初の2006年から、アーキテクチャは疎結合で開発を進めてきました。だから、APIの開発もハードルは高くありませんでしたね」(木村氏)

 現在、マイクロサービス化を図っている企業も多いが、住信SBIネット銀行では「マイクロサービス」という言葉がない頃から、すでに時代に合わせてシステムを変化に柔軟に対応できるよう、アーキテクチャを選択していたというわけだ。

金融業界におけるSBIグループの役割

 SBI FinTech Incubationが提供する「フィンテックプラットフォーム」は、地域金融機関がFinTechサービスを実現するためのプラットフォームである。だが、地域金融機関がFinTechサービスを導入する以前に、解決しなければならないさまざまな課題が山積みなのだという。

 「多くの地域金融機関のシステムは当社のように疎結合になっていないので、システムがネックとなり、やりたいビジネスができないという課題があります。また実店舗ありきであるため、SBIのようにインターネットの中だけで完結することを想定したシステム・業務になっていません。店舗は守るべき一番のものとなっている。そういった中で非対面のインターネットサービスも強化していかねばならないにもかかわらず、そのノウハウがないことも課題です。ですが、SBIグループにはその知見がある。それらを他の金融機関に提供していくことで、地方創生や日本の将来に貢献していくことも私たちの役割だと思っています」(木村氏)

 フィンテックプラットフォームは既に、5社がAPI公開基盤を活用、現在、6社が導入準備を進めているが、同プラットフォームは完成形というわけではない。今後も拡充が図られていく。

 「API公開基盤を中心に認証や銀行が必要とするアプリケーションの提供など、横に拡げていことを検討しています。また今後は法人向けのサービス、例えば地方銀行の課題を解決するなど、SBIグループの知見を生かしたソリューションを提供していく予定です。同プラットフォームは、オープンイノベーションの中心的な基盤として活用してもらいたい。そのためのユースケースの提供、地域金融機関への啓蒙も行っていかねばなりません」(木村氏)

FinTechが金融業界を変えていく

 FinTechを推進しているSBI FinTech Incubation。だが、決して銀行そのものを破壊したいわけではない。

 「人口が減少するなか、オーバーバンキング(銀行が多すぎること)と言われていますが、金融庁から免許を受けている銀行にしかできない業務があるため、銀行はなくなるものではありません。一方、お金、決済に関する利便性は今後どんどん上がっていく。その中で銀行の役割は変わり、銀行のビジネスモデルも変わっていきます。その一端を担っているのがFinTechであり、当社はすごく面白い分野に身を置いていると自負しています。

 ユーザーの行動変化に対応するため、銀行は多くの変革を必要としている時期にあります。新しい技術を取り入れる事で、銀行自体が新しい業態に変わる可能性も十分にあります。そのような環境の中、テクノロジーやSBIのグループ力を活用して支援していく醍醐味もあります。新しいカタチ、未来に向かってサポートできる。そんな経験、なかなかできないと思います」(木村氏)

 新しい銀行のカタチが求められている時代においてさまざまなチャレンジができる環境にあるSBI FinTech Incubation。「フィンテックプラットフォーム」に関わるエンジニアは現在、どんな活躍を見せているのだろうか。

 「銀行のデータ分析基盤を作るというのであれば、データ分析やAI分析のソリューションを活用して、サービスを開発しています。実はわたくしどもSBIグループでは、AIやデータ分析はもちろん、さまざまなテクノロジー企業に出資していて、それら企業の経営者やサービス開発者と直接、話ができる環境があります。このようなスピード感は、SBIグループだからこそ得られる醍醐味だと思います」(木村氏)

 現在はプロジェクトのコーディネートを行うエンジニアが多いが、今後は、さらなる内製化を進めるべく、エンジニア採用を更に加速していくのだという。FinTech業界で活躍していくにはどのようなマインドがあればいいか、木村氏に伺った。

 「APIはもちろん、スマートフォンアプリ、認証やセキュリティの仕組みの開発など、開発しなければならないものがまだまだたくさんあります。金融業界の知識は特に必要ありません。レガシーな業界を変えていくために、いろんなことに興味を持って携わっていく。技術や世の中に対して『なんでこうなっているんだろう』と思い、自ら調べていくような探究心のある方であれば、自分がどんどん成長していける環境です」(木村氏)

 FinTechに関心があるのであれば、変化が激しいこれからがチャンス。SBIグループで金融業界を変えていく。そんな経験をしてみてはいかがだろう。

SBIホールディングスではエンジニアを募集しています

 今回お話を伺った木村氏のSBI FinTech Incubationのほか、SBIホールディングスのさまざまな企業において、未来のFinTechサービスを開発していくメンバーを募集しています。ぜひ以下のサイトよりエントリーください。

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著者プロフィール

  • 中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

     大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

  • 奥田 達俊(オクダ タツトシ)

    フリーランスフォトグラファー

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