事例2:プロダクトオーナーが、ユーザーの生の声をチームに届ける
中村氏は、BtoBのサービスを提供する他社の事例も紹介した。この企業のプロダクトオーナーは営業担当者である。クライアント企業のところに足を運んでは、プロダクトについてのやりとりを日常的に交わしていた。
この現場では、プロダクトオーナーと開発チームの所属企業が異なっていた。いわゆる、発注企業・受注企業の関係にあったという。こうした形態の場合、どうしても両者間のコミュニケーションは希薄になりがちだ。しかし、この事例においては、プロダクトオーナーが開発チームと密に連携をとりながら、適切に開発サイクルを回せていたという。
彼らは「Outcomeがわかるカンバン」を用いて、開発を行っていた。これは、それぞれのPBIに関して「どの顧客に向けた機能で、どのくらいの価値を創出できそうか」を可視化するためのカンバンである。さらに、スプリントレビューではOutputについての話だけではなく、売り上げや売り上げ予想といったOutcomeの話も行っていた。メンバー全員が一丸となって「どうすれば、顧客が享受できる価値を最大化できるか」を考えていたのだ。
「この体制を構築できた秘訣は、プロダクトオーナーが開発チームに対して、ユーザーの生の声を定期的に届けていたことです。
プロダクトオーナーは営業担当者ですから、日常的にクライアント企業と会い、さまざまな会話をします。その過程で、『○○の機能は使いやすい』『○○の機能によって時間短縮できた』などのポジティブな意見が顧客から挙がってきます。
その声を、プロダクトオーナーはすぐにチームへと届けていました。そうすることで、チームのモチベーションは上がり、ユーザー目線で機能を考えられるようになっていきます」
サービス開発において、何よりも大切にしなければならないのは「ユーザーに価値を届けられたかどうか」である。Outcomeの観点を取り入れている各社の事例は、その重要性を私たちに改めて教えてくれた。
