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ぼくらのチーム・ジャーニー〜越境するプロダクト開発の現場〜

チームの「理解の質」を高めよう~朝会・ふりかえり・タスクボードのやり方を見直す

ぼくらのチーム・ジャーニー〜越境するプロダクト開発の現場〜 第1回


どのように理解の質を高めるか? 朝会・ふりかえり・タスクボード

では、どうやって理解の質を高めると良いのでしょうか。

では、どうやって理解の質を高めると良いのでしょうか。

チーム活動の基本セットと言えば、「朝会」「ふりかえり」「タスクボード」ですね。もちろんこれらを運用されている現場は多いと思いますが、効果的に運用できているでしょうか? ここでは、理解の質を高めるための要点を示したいと思います。共通するのは「状況の差分(変化)」を取るということです。

朝会の要点

基本

 以下の3つの質問を投げかけて答えていくのがよいでしょう。

  • 「昨日やったこと/できたこと」
  • 「今日やること」
  • 「昨日から困っていること/今日困りそうなこと」

状況をより理解するためには?

 朝会の特徴は、日々の開催であること。つまり、「日々の変化を捉えられる」ところにその本質があります。

 こうした変化を捉えるには、文脈にあまり依存しないことです。毎日のことなので、「全体についてはもうみんな理解しているよね? だから特徴的な差分だけ追いかけていこう(進捗があるところだけ見る)」というのでは、朝会の利点を大きく減らしてしまうことになります。だんだん、わかっているはずの「全体」が見えなくなり、やがては見失ってしまうからです。

 「わかっているはず」の前提を置かずに、「全員が自分の言葉で自分の状況を話す」ことを基本としましょう。継続的な対話の中で、変化があることも、変化がないことも、両方ともチームにとって互いを理解するための情報になるのです。

ふりかえりの要点

基本

 KPTなど、ふりかえる切り口を引き出してくれるワークに取り組みましょう。

状況をより理解するためには?

 ふりかえりの特徴は、「経過した時間」を対象として、その間で「やったこと」、あるいは「やっていないこと」を省みるところにあります。ある期間を前提として置くことで、省みやすくする。ぼんやりとやったことを吟味しようとしても、おそらく記憶に強く残っていることが中心になってしまうでしょう。

 ただ単に「やったこと」だけをふりかえるのではなく、「この期間に何をやろうとして、何ができたのか。そして何ができなかったのか」を見つめてみましょう。意思と現実のギャップを捉えにいくことで、結果を見ているだけでは気づきにくい課題をつかみとれることがあります。

タスクボードの要点

基本

 Todo/Doing/Doneによるタスクの管理が基本です。

状況をより理解するためには?

 タスクボードの特徴は、状態の変化を捉えられること。朝会と同様に、動いていくタスクと動いていないタスク、両方に着目します。タスクボードは、タスクの客観的な状態を可視化しているため、タスクの担当者も気づいていない問題状況に周囲が気付ける可能性があります。

 長らく動いていないタスクには何らかの理由があります。担当者にとって自明の課題であり、「それは自分で解決するもの」と捉えてしまっていたら、問題として本人から浮かび上がってくることがありません。状態の差分がないことを分かるようにすることで、周囲から働きかけられる可能性を高めるようにしましょう。

リモートワークで注意すること

 チーム全員が揃ってリモートワークだと、仕事をする状況・条件が揃いやすくなります。「外出する予定があって、チーム活動を行う場所に居合わせることができないから参加できない」といったことが減るわけですね。全員場所を問わない仕事のスタイルは、実はチーム活動がやりやすくなる一面があるわけです。

 その一方で、コミュニケーションは言葉頼みになりがちです。誰もが状況や状態を伝えるための言語化を得意とするわけでありませんよね。情報が不足するようになると、意思疎通がしづらくなります。

 お互いの理解を補うためには、言葉だけではなくイメージ(図解やモデル)でのコミュニケーションがより大事になります。miroJamboardなどのホワイトボードを模したツールが、リモートワーク環境ではほぼ必須と言えます。こうしたツールを使って、チームの理解の質を高めるようにしましょう!

エピローグ

 和田塚さんのリードで、僕たちはタスクボードの運用をはじめることになった。タスクボードは、miro(オンラインのホワイトボードサービス)で表現することにした。アナログなボードのイメージがあって、単純で直感的に使うことができる。

 チームのみんなも、オンライン上で付箋が自由に動き回る様子が面白いらしく、このボードを気に入ったみたいだ。ふと、Web会議の画面上で、和田塚さんと目があった。和田塚さんは、軽く微笑んでみせた。ちょっと得意げに「チームぽくなったでしょ」と言っているようだった。

 でも、僕はどこか落ち着かなかった。このチームが、そんな簡単にのっていきになる気がしなかったのだ。

 案の定、火の手があがった。

「これは、私は使わなくて良いです」

「……でも状況がわかりやすくなりましたよね」

「そう? ペタペタ付箋を貼って、面白がって遊んでいるだけでしょ」

 そう言ったきり、宮坂さんはカメラも音声もオフにしてしまった。チームは先ほどの雰囲気が嘘だったみたいに、一気に静まりかえってしまった。

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【連載との違い】

ProductZineの連載では、現場におけるチーム活動でのシーンを想定して実践的な作りにしていますが、コンパクトにまとめているため、個人が根本を深く理解するのに向いていません。理論や原理原則を体系的にまとめた書籍『チーム・ジャーニー』で、チームづくりの要点を深く学びましょう。ぜひお買い求めください!

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この記事の著者

市谷 聡啓(イチタニ トシヒロ)

 ギルドワークス株式会社 代表取締役/株式会社エナジャイル 代表取締役/DevLOVEコミュニティ ファウンダー サービスや事業についてのアイデア段階の構想から、コンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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