株式会社セールスフォース・ドットコムの報道関係者向け説明会で、CEOのマーク・ベニオフ氏が登壇し、日本での事業展開や将来の構想を語った。
2007年4月19日、マンダリンオリエンタル東京で株式会社セールスフォース・ドットコムの報道関係者向け説明会が行われた。米国本社から創業者兼CEOのマーク・ベニオフ氏が登壇し、日本法人社長の宇陀栄次氏とともに、日本での事業展開に関する方針説明や、プラットフォーム構想を語った。
セールスフォース・ドットコムは「SaaS」に代表されるオンデマンドCRMアプリケーション「Salesforce」の、米国におけるリーディングカンパニー。同社のサービスは、銀行、保険、証券、自動車、食品など、あらゆる業種で、世界約2万9千社、約64万ユーザーに利用されている。日本でも過去12ヶ月で40%の急成長を遂げた。
同社のサービスはすべてインターネットを経由して提供されるため、ユーザー企業はブラウザさえあればよく、余分なサーバーやソフトなどのITインフラへの投資の必要が無い。このため、企業側にとっては、運用、構成管理などの手間が大幅に省ける。
また「Salesforce」は、三菱UFJ信託銀行への採用が決定しているように、銀行などの100項目以上におよび厳格なセキュリティ基準をクリアするレベルの信頼性を誇っている。サービスの稼動状況を顧客にリアルタイムで提供し、高可用性の「見える化」も実現している。
ベニオフ氏は、Microsoft、Oracle、SAPなどのパッケージソフトウェアという一つのビジネスモデルが終焉を迎え、これからの企業は、新しいソフトウェアのバージョンを購入するのではなく、新しいビジョンをもった企業が、インターネットに接続して成功を収めるのだ、とした。
1日に8000万件を超えるトランザクションを処理している同社は、Google、eBay、Amazonといった「Web2.0企業」になぞらえて、同社があらゆる企業情報を支援する信頼性の高いオンデマンドプラットフォームになると宣言した。
記者会見では、同社が、NTTデータと連携し、日本郵政公社にCRMアプリケーションを提供すると、同日付で発表した。国内最大の5000ユーザーがアクセスするサービスになるとのこと。
開発面では、オンデマンド・プラットフォーム「Apex(エイペックス)」を提供している。これを利用することにより、自社の業務要件に合わせたシステムのカスタマイズや他システムとの統合、新たなアプリケーションの構築が可能となっている。また、「AppExchange」とよばれる開発コミュニティにより、アドオンのようなソフトウェアを利用者間で共有することができるようになっている。将来的には「AppStore」という仕組みで販売もできるようにするとのこと。
SalesForce自体は、Javaで書かれているそうだが、「Apex」はJavaに似た独自のプログラミング言語を持つ開発環境。Apexで、開発することで、プラットフォーム非依存な環境が実現するという。
最後に、宇陀社長が「我々はもはやCRMという土俵にはいない。その先を目指している」と締めた。
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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
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